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    どうして中性子線は危険なのか

    原発労働者の方の健康にとって一番有害であると思われる中性子線の危険性について説明したいと思います。
    中性子線は、主に核分裂と分裂核の中性子放出によって発生しますが、ウランよりプルトニウムの方が原子番号が大きいため、プルトニウムが核分裂した場合の方が中性子線がより多く発生し、中性子線のエネルギーが高いのですが、この事は、原子炉の安全性と原発労働者の健康により大きな影響を与える事になります。*1 *2
    どうして分裂核が中性子を放出するのかというと、原子核は原子番号が大きくなればなるほど、それぞれの陽子の周りの陽子の数の平均値が増え、陽子間のクーロン斥力の平均値が高まり、中性子による核力で陽子を押さえつけなければ長寿命化出来ないため、ウランやプルトニウムのような原子番号が大きい元素は中性子の比率は多いのですが、核分裂が起きて分裂核の中性子の比率が適正ではなくなって中性子が過剰状態となった分裂核は、一定の割合で遅発中性子を放出します。*3
    この遅発中性子は原子炉の核分裂反応のスピードを遅くして原子炉の制御を容易にしていますが、プルトニウムを使用したMOX燃料はウラン燃料よりも遅発中性子が少ないため、核分裂の反応制御が難しくなると言われています。*4
    また、分裂核は上記のように遅発中性子を放出した場合でも未だ中性子の過剰状態が解消されない場合が多いのですが、その場合はβ崩壊を起こしてβ線を放出、多くの場合はβ崩壊後に原子核のエネルギーが過剰になるので、γ線やX線を放出します。
    ここで本題に入りますが、中性子線がどうして危険なのかというと、中性子線はα線やβ線と違って電荷を持たないため物質に対する透過力が高く、体内の陽子に衝突すると中性子は陽子と殆ど同じ質量であるため、陽子をビリヤードの玉のように弾き飛ばし、陽子は荷電粒子なので、細胞内のたんぱく質やDNAの塩基等を大量に電離させるので、中性子線は細胞にとって攻撃性が高くてDNAの二本鎖切断も起こしやすいのです。*5 *6
    また、中性子線の中性子が体内の原子核に吸収されて、体内の原子核を放射性同位体に変化させて内部被曝をする場合もあります。
    中性子線は上記で説明したように透過力が高い割に有害なのですが、中性子線は透過力が高いが故に通常の線量計では殆ど検出で出来ないという性質を持っていますので、個人的には、原発労働で中性子線による被曝量が正しく評価されない可能性があるのではないかと考えていますます。*7
    また、低線量被曝のリスクが明確に(HUFFPOST 2015年10月08日 2016年10月07日更新)に記されている「30万人以上の原子力産業労働者を対象とする大規模疫学調査」結果臓器・組織の放射線感受性(環境省)私の見聞を総合すると、私は、中性子線被曝は、固形がんよりも白血病や悪性リンパ腫を起こしやすいのではないかとも考えています。
    *1 原子量が偶数のプルトニウムは自発核分裂(Wikipedia)を起こしやすいのですが、自発核分裂でも中性子線は発生します。
    *3 実効遅発中性子割合(ATOMICA)を見てください。
    *6 核力が湯川ポテンシャル型(Wikipedia)の引力であり、中性子と陽子の間にはアイソスピンによる縮退圧も働かないのに中性子が陽子を弾き飛ばす理由は、中性子や陽子に核力の斥力芯があるせいですが、原子核の中にある“強い力”の起源を解明(東京大学)を見てください。
    *7 原発労働者以外の方の中性子被曝の問題は、プルサーマル運転の危険性と問題性についての(5)を見てください。
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    コメント

    Re: 残る再臨界のリスク

    https://himajinnohimana.blog.fc2.com/blog-entry-144.html
    からあまり進展は無いようですが、原発は本当に厄介ですよね。

    残る再臨界のリスク

     チェルノブイリ原発で増える中性子 核の「燃えさし」か
    https://www.asahi.com/articles/ASP79656LP6PULBJ00Y.html
    非公開コメント

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