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    恐慌の原因は労働生産性の向上のせい?

    現代の日本のマルクス主義研究の状況はどうなっているのか久々に確認するために、ネットを確認したところ、立教大学の前畑憲子先生の人と学問というものを発見し、長文を我慢して読み込んで見たところ、恐慌の原因は労働生産性の向上による資本の絶対的過剰生産のせいであり、労働生産性の向上に重きを置いていると理解しました。
    私は、恐慌の原因は賃金上昇のせい?にて、恐れ多くも宇野弘蔵先生の恐慌論を批判した訳ですが、前畑憲子先生の恐慌論についても、わきまえない力を全開にして批判したいと思います。
    前畑憲子先生は宇野先生が資本の有機的構成の高度化や資本の利潤の傾向的低下について恐慌と結びつけていなかった事を批判し、資本の利潤率の傾向的低下は資本の利潤の総量を増加させていると指摘しているのは正しいと思うのですが、資本の絶対的過剰生産も本質的には生産と消費の矛盾の発現形態の一つにすぎず、生産力と消費の矛盾を恐慌論の核心に据えないで、恐慌の原因が労働生産性の向上による資本の絶対的過剰生産であるというような現象論のレベルの主張を行うの事は大きな誤りであると考えます。*1 *2 *3
    それと、資本主義は恐慌をどのように乗り切って来たのかで示した通り、労働生産性の向上をもたらす生産手段の高度化は、恐慌を乗り切るための手段となっているという事も考慮しなければならないと考えますので、恐慌の原因を単純に労働生産性の向上に求める事は出来ないのではないでしょうか。
    尚、資本家階級が労働者階級を搾取する事によってしか成立する事が出来ない資本主義では、生産と消費の矛盾は深まってゆく一方なので、国家独占資本主義体制がどんなに成熟しても、世界恐慌は必ず再来するのではないでしょうか。*4 *5
    そして、生産と消費の矛盾を理論の核心に据えて考えるならば、前畑憲子先生は、資本の有機的構成の高度化の基軸であるところの生産手段の高度化が労働を単純労働に置き換えて労働力の再生産のために必要な価値に等しい労賃を低下させたり、失業者を大量に生み出す事になり、生産力が増大して資本家階級の利潤量が多くなればなるほど労働者階級の購買力が低下し、この事も恐慌の基本的な要因として作用する事を見落としているとしか言いようがないのではないでしょうか。*6 *7
    *1 資本の利潤の傾向的低下(Wikipedia)を見てください。
    *2 資本の有機的構成(Wikipedia)を見てもらいたいのですが、私は、生産手段を変更しない労働組織の再編についても資本の有機的構成の高度化とみなすべきだと考えます。
    *3 資本の絶対的過剰生産については、前畑憲子先生の「資本の絶対的過剰生産」 についてを見てください。
    *4 国家独占資本主義(Wikipedia)を見てください。
    *5 資本主義は国家独占資本主義体制を採用して恐慌の爆発を抑え込んでいるけれど、この事によって資本主義国家の財政赤字が膨張し、労働者に対する課税が過酷になる事も恐慌の要因として作用する事も見落としているのではないでしょうか。
    *6 失業者の増大によって就労者中の労働者に賃下げと労働強化の圧力をかける事が出来るため、資本家階級は意図的に失業者(産業予備軍)を作り出しているというのがマルクス主義の定説であり、生産手段の高度化が失業者を増大させるための最も有効な手段となります。
    *7 リニア中央新幹線の建設は、過剰資本の処理形態の典型例と言えると思いますが、戦争が最も苛烈な過剰資本の処理形態であると考えます。
    追記:(2024/2/2)
    資本主義は恐慌をどのように乗り切って来たのかの内容を用いて、恐慌の原因を単純に労働生産性の向上のせいにする事は出来ない事を追記しました。
    追記2:(2024/2/3)
    前畑憲子先生の理論は原理的なものであるにもかかわらず、その事を忘れて行きすぎた批判を行ってしまったので、その箇所を削除しました。
    また、過剰資本の増大は、本質的には資本家間の競争によって起きるという事にするために、批判内容を訂正しました。
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