fc2ブログ

    どうしてトリチウムは危険なのか

    処理済みの汚染水の中に大量に含まれているトリチウムの安全神話に騙されている人がいらっしゃる事が分かったので、どうしてトリチウムが危険なのかという事を説明したいと思います。
    トリチウムは通常の水素の原子核に中性子が二つ加わった三重水素(Wikipedia)と言われるものですが、半減期が約12年の放射性元素で、このトリチウムが結合している水の分子がトリチウム水です。
    トリチウムは、中性子照射による核分裂や水を構成している水素原子核に対する中性子照射による水素原子核の高次化によって生成されます。*1
    トリチウムは化学的な性質が通常の水素に非常に近いので、体内に吸収すると、当然吸収の仕方によって比率が変わりますが、一定の部分がDNA(Wikipedia)に組み込まれてしまう事になりますし、後程説明しますが、トリチウムも生体濃縮が起きると言われています。
    そして、DNAの塩基に組み込まれたトリチウムが崩壊すると、化学的な結合力が存在しないヘリウム(Wikipedia)に変化し、DNAの塩基が破壊されて、100%の確率でDNA鎖切断されるのです。
    また、トリチウムがβ崩壊時に発生するβ線のエネルギーは低いから大丈夫だと言われていますが、まさにエネルギーが低いためにβ粒子の速度が遅くて飛程(ATOMICA)が大変短いため、DNAの塩基に組み込まれた場合、トリチウムがヘリウムに崩壊して破損した塩基の近くの塩基やDNA鎖が破壊される確率が高いので、DNAの二本鎖切断が起きる確率が高くなります。
    そして、対になったDNA鎖が二本とも切断されてしまうとDNAを正しく修復出来なくなる可能性が高まり、DNAが変異して細胞ががん化する確率が高くなるのです。
    それと、汚染水、浄化後も基準2万倍の放射性物質 福島第一原発(朝日新聞 2018年9月28日)たまる汚染水120万トン処理の流れは 7割が基準超え(朝日新聞 2020年7月20日)という話もあるので、処理済みの汚染水は水で薄めてそのまま海洋放出すべきではないと考えます。*2
    *1 「高次化」は、原子核が中性子を吸収して中性子数が多い同位体に変化する事です。
    追記:
    また、放射線量の影響に閾値がない事については、低線量被曝の危険性についてを見てください。
    追記2:
    追記3:
    トリチウムはDNAに取り込まれなくてもβ線のエネルギーが低いため、どうしてX線は危険なのかで説明した「電離密度」(LET)が高く、この意味でも二本鎖切断の確率は高いのです。
    また、トリチウムのβ線のエネルギーが低いと言っても、有機化合物を破壊するために必要なエネルギーの約千倍程度はありますから、DNAや細胞を損傷させるには十分なエネルギーを有しているのです。
    追記4:
    トリチウムがDNAの塩基に取り込まれた場合にどうして二本鎖切断が起きやすくなるのかについて、どうしてトリチウムは危険なのか(5)で分かりやすい図で説明していますので、どうか見てください。
    追記5:(2021/12/4)
    二本鎖切断してもたまたま正常に修復される確率がないとは言えないので、二本鎖切断の説明の記述を修正しました。
    追記6:(2023/7/30)
    トリチウムの生体濃縮について記している後続の記事を見てもらえるようにするため、「後程説明しますが、トリチウムも生体濃縮が起きると言われています。」という記述を追加しました。
    関連記事

    コメント

    Re: トリチウムの危険性の論じ方

    https://himajinnohimana.blog.fc2.com/blog-entry-95.html
    の内容と先にコメントした内容が重複していたので、私のコメントを削除して済みませんでしたが、「その提示の資料」は
    https://atomica.jaea.go.jp/data/detail/dat_detail_09-02-02-20.html
    で、原発を推進する側の情報です。
    また、
    https://himajinnohimana.blog.fc2.com/blog-entry-95.html
    も見てください。

    トリチウムの危険性の論じ方

    その提示の資料ですが、量が多すぎて簡単には読めないのですが、暇人さんのコメントも含め少し気になったことがあります。

    それはトリチウム自体とトリチウム水は意味が少し異なるという事です。また「トリチウムの細胞致死効果はγ線より高く・・」ですが、細胞核をトリチウムの放射線が直撃した場合はそうかもしれません。 しかし問題はその直撃が量的に時間的なモノを含めどの位発生するか、全体としてその直撃確率が有意なレベルか、です。 私はそれを示す資料は持っていませんが・・・

    Re: トリチウムの危険性の論じ方

    トリチウムの危険性の論じ方

    しつこくて済みませんが、食塩でもイヤ酸素でも、そして一般には毒と言われる銅も体の為には必須です。 
    トリチウムは有益だ!とまでは言わないまでにしても定量的な側面を抜きにして論じると、酸素は体に有害だ、なんて事になりかねません。 その事を申し上げたかったのです。

    No title

    そのjaifの記事ですが、フランスでの白血病の調査結果を報じています。 
    しかしその記事とこの暇人さんの接点であるトリチウムの危険性に関しては定性的にも定量的にも全く触れていません。
    まぁハヤイ話が論点が違う、と言う事ですね。 

    Re: トリチウムの危険性の論じ方

    Re: トリチウムの危険性の論じ方

    トリチウムの危険性の論じ方

    私も知恵袋を見てこのWebに来ました。

    トリチウムの危険性について書かれていますが、一つポイントを指摘させていただきます。
    定性的には正しいと思いますが、定量的な視点がまるでありません。定量的な側面の中には時間的な持続性も含まれます。

    つまり定性的な危険という側面を針小棒大に取り上げている気がします。それだとその取り上げ方が恣意的と言われてもしょうがありません。
    非公開コメント

    アクセスランキング

    FC2カウンター

    ブロとも一覧

    最新記事

    QRコード

    QR