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    メルトダウンに伴う再臨界の可能性について

    2021/2/13の地震による福島第一原発の影響についてで、どうして私が再臨界の心配をしているのか記したいと思います。
    京都大学原子炉実験所の再臨界についてでは、「再臨界の可能性はゼロではない」とされているので、メルトダウンした後に再臨界する事を心配するのは私だけではないという事を分かっていただけるのではないでしょうか。
    ところで私は、特にMOX燃料を利用していた3号機の炉心の下部で2011/3/20-21にかけて発生したと考えられる再臨界が、事故後10年経過しても、
    (1) 冷却停止によって核燃料の溶融が進み、プルトニウム等の密度が高い核種が重力で核燃料デブリの下部に沈殿する。
    (2) 核燃料デブリは、中性子を反射しやすい劣化ウランが豊富に存在するため、中性子反射体(Wikipedia)として機能してしまう。
    (3) 原子量が偶数のプルトニウムやキュリウムは自発核分裂(Wikipedia)が起きやすいが、核燃料デブリの下部に沈殿したこれらの核種が高温になって熱振動が激しくなると、自発核分裂の核分裂ポテンシャルが低下して自発核分裂が促進され、中性子を多数放出するようになって、核燃料デブリの下部の中性子束(Wikipedia)が増加する可能性がある。*1
    (4) (3)の理由によって中性子束が多くなると、原子量が奇数のプルトニウムやウラン235等の誘導核分裂が激しくなり、この事によって核燃料デブリ内がさらに高温化して自発核分裂が激しくなって中性子束がさらに増加して誘導核分裂がさらに激しくなるという悪循環が進行して臨界状態(Wikipedia)に到達する可能性がある。*2
    というシナリオで起きる可能性が残されているのではないかと考えています。
    私は、軽水炉では、通常は水で中性子を減速しなければ余程の事が無ければ臨界状態には到達しないと考えていますが、メルトダウンをしてしまった場合、特にMOX燃料を使用している場合は、プルトニウムの熱振動による自発核分裂の増加が引き金となって、上記で説明したシナリオによって臨界状態に到達する可能性があるのではないかと考えています。
    *1 この考えは、私の単なる妄想かもしれないですが、原子炉級プルトニウム(ATOMICA)でそのまま核兵器を作ると未熟爆発が起きてしまうのは、この事が原因ではないかと考えています。
    *2 誘導核分裂は、原子核が中性子を吸収して核分裂する事ですが、詳しい話は質量欠損によってエネルギーが発生する理由について(3)を見てください。
    追記:
    福島第一原発事故の経過の疑問点についてが正しければ、3号機の格納気のメルトスルーは3/14に始まったと考えられるので、プルトニウムが核燃料デブリの下部に沈殿するまで約一週間程度かかった事になるのではないでしょうか。
    追記2:
    私は、南相馬や首都圏に積もった黒い粉についてで記した黒い粉は、主に3号機で起きたと思われる再臨界によって発生して飛散したものではないかと思っています。
    追記3:
    福島第1原発3号機の黒煙は収まる、あらたに2号機から白煙(REUTERS 2011年3月21日)の画像に映っている黒煙は、3号機が再臨界してMOX燃料が燃焼して発生した煙ではないでしょうか。
    追記4:
    追記5:(2023/9/1)
    原子力規制員会の資料(4) 再臨界の可能性についてがリンク切れになってしまったので、冒頭の部分を変更しました。
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