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    アイソスピンによる縮退圧について

    質量欠損によってエネルギーが発生する理由について(3)まで記して来て、アイソスピン(Wikipedia)による縮退圧(天文学辞典)については、核力とクーロン斥力の次に原子核内で重要な働きをしているにも関わらず、物理の啓蒙書で詳しく説明されていない事を思い出し、老爺心が疼いたので少し説明させていただきたいと思います(笑) *1
    アイソスピン自体は、陽子と中性子を区別するためにハイゼンベルクが電子のスピンから類推して考案したものなのですが、アイソスピンのスピン方向は、電子のスピンと違って、スピンの方向はアイソ空間という仮想的な空間に属しています。
    そして、例えば陽子と中性子ではアイソスピンが異なるのでアイソスピンによる縮退圧が働かないのですが、同一の種類の核子間ではアイソスピンの方向が同じになるので縮退圧が働き、この事は実験で確認されているはずです。
    また、アイソスピンの方向は、仮想的なアイソ空間に属しているため、電子のスピンと違って、核子の存在確率分布が大域的に見て球対称であれば、縮退圧の働き方も球対称であるはずです。
    尚、核力があるにもかかわらず原子核が潰れないのは、基本的に陽子間のクーロン斥力と同一種の核子間のアイソスピンによる縮退圧と位置と運動量の不確定性関係と核子間に働くと思われる核力の斥力芯の存在のせいであると考えられます。
    核力の斥力芯については、東京大学の原子核の中に有る“強い力”の起源を解明(2007/6/20)を見てもらいたいのですが、核力の斥力芯の起源は、恐らくクオーク自体の何らかの縮退圧ではないでしょうか。
    因みに、量子色力学のレベルで厳密に考えていないので、これらの考え方は近似的な考え方である事に注意してください。

    *1 縮退圧(天文学辞典)の「中性子の縮退圧」というのは、アイソスピンによる縮退圧の事を差していると思いますが、敢えて「アイソスピンによる縮退圧」と表現したのは、陽子・陽子間でも同じ縮退圧が働いていないと理論的に矛盾が起きるからです。
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