どうして福島は小児甲状腺がんの発見が早かったのか

Yahoo!知恵袋(原子力災害)で、チェルノブイリ原発事故では小児甲状腺がんの発生のピークが事故発生から約9~10年後だったが、福島第一原発事故では事故後約3年でピークが来たから、福島県における小児甲状腺がんの多発は原発事故とは関係がないという趣旨の内容をどや顔で主張している人がいましたので、この問題について改めて確認したところ、ATOMICAの図5 ベラルーシでチェルノブイリ事故による甲状腺がんと診断された症例数というグラフを見つけました。
このグラフを見ると、乳幼児期に被曝した場合は小児甲状腺がんの発生が遅くなる傾向がある事が分かりますが、この事が福島第一原発事故による小児甲状腺がんの発見のピークをチェルノブイリ原発事故の場合より早めた一因となっているのではないでしょうか。
福島県の小児甲状腺検査の結果を見やすくして見ましたの2番目のグラフを見ればわかるとおり、福島第一原発事故では、乳幼児期に被曝して小児甲状腺がんを発生した子供は非常に少ない事が分かります。
福島第一原発事故では、チェルノブイリ原発事故の教訓に踏まえて汚染された乳製品や水道水を子どもに飲ませないようにしたり、乳幼児は早めに遠隔地に避難した人が多かった事が功を奏し、甲状腺がんの発症時期が遅い傾向がある乳幼児の甲状腺がんの発症率を抑える事が出来たので、結果的に福島第一原発事故による小児甲状腺がんの発見の集団的なピークをチェルノブイリ原発事故の場合より早めたのではないでしょうか。
それと、チェルノブイリ原発事故では事故から4年後にようやく超音波診断装置が導入され、それ以前は触診が行われていたようですが、福島第一原発事故では事故後すぐに超音波診断装置で診断を行っていて、しかも超音波診断装置が進歩しているはずなので、福島第一原発事故では、上で説明した内容と診断精度の違いによって小児甲状腺がんの発見のピークがチェルノブイリ原発事故より早まったのではないでしょうか。
また、福島の小児甲状腺がんで高い再手術割合〜民間団体公表(OurPlanet-TV 2022/03/21)によると、再手術や放射線治療を複数回行うケースが増えているそうですが、これは、福島や近県で発生した小児甲状腺がんが自然発生のがんより悪性度が高い事を示していて、福島原発事故で甲状腺がんが2~3年程度で多数発見されたのは、この事も一因となっている可能性があるのではないでしょうか。
追記:
ATOMICAの図5 ベラルーシでチェルノブイリ事故による甲状腺がんと診断された症例数と福島のがんの発見の傾向が違う理由についての仮説を考えて見たところ、
(1) ウクライナの事故発生当時0-4歳の発がんが遅れた理由は、正常細胞よりも良性腫瘍細胞の方が放射線被曝によって発がん化する確率が高いと仮定すると、低年齢では甲状腺内に良性腫瘍細胞がほとんど存在しないから、ウクライナの乳幼児期集団は正常細胞ががん化する場合が多かったので、良性腫瘍細胞が放射線で一斉にがん化した場合と比べて腫瘍の成長速度が遅かったからではないか。
(2) ウクライナの事故発生当時10-14歳の集団の発がんが遅れた理由は、正常細胞も良性腫瘍細胞も加齢に伴って細胞分裂の勢いが弱まり、被曝によってがんになる確率が低下したためではないか。
(3) 福島の青年期のがんの成長が速かった理由は、国単位で調査を実施したウクライナと比べると調査範囲が県単位で狭かったため、甲状腺等価線量の平均がウクライナ国内全体の平均と比べて高かったため、福島のほうが甲状腺内の良性腫瘍細胞ががん化した確率が高く、福島のほうが平均的ながんの悪性度がウクライナよりも高かった可能性があるからではないか。
(4) 福島の乳幼児のがんの発見が少なかった理由は、本文に示した通り、被曝対策が功を奏したからではないか。
となりましたが、皆さんも考えていただいて、何か分かった事があれば教えていただけないでしょうか。
追記2:
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