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    TBS 報道特集の「原発事故と甲状腺がん」の問題について

    反応が大変遅くなってしまいましたが、TBS 報道特集の「原発事故と甲状腺がん」の問題に対する私の意見をここで記しておきたいと思います。
    TBS 報道特集の「原発事故と甲状腺がん」に対して、ごうごうたる非難が浴びせられて問題になりましたが、最も非難の対象になったのは、TBS『報道特集』「原発事故と甲状腺がん」の問題点 語られなかった科学的事実【前編】(NEWSポストセブン 2022.06.26)に記されている「1986年〜1997年にウクライナで小児甲状腺がんと診断され摘出手術を受けた577例について、被ばく線量別に分類したグラフ(ウクライナのMykola D.Tronko博士が1999年に発表した論文から引用)を示し、〈51%が100mSv以下の被ばくで、10mSv未満が15%だった〉と説明した。」という部分ではないでしょうか。*1
    まず、ウクライナのMykola D.Tronko博士が1999年に発表した論文の内容を否定するには、論文を調べて不備を指摘しなければならいはずですが、そのような事を行ったという話は私は聞いていませんし、2013年の国連人権委員会報告の内容は何だったのかで示した通り、ヒューマンライツ・ナウの(クローバー報告の勧告部分のみ)では、2013年の国連人権委員会報告の核心的な内容は「放射線被ばくの健康への正確な影響は、いまだ明らかになっておらず、低線量被ばくの長期的な影響も依然研究中である。」(P5)「国際放射能防護委員会(ICRP)でさえ、発癌又は遺伝的疾患の発生が、約 100mSV 以下の放射線量の増加に正比例するという科学的可能性を認めている。さらに、低線量放射線による長期被ばくの健康影響に関する疫学研究は、白血病のような非固形癌の過度の放射線リスクに閾値はないと結論付けている。固形癌に関する付加的な放射線リスクは、直線的線量反応関係により一生を通し増加し続ける。 」(P22)とされています。
    因みに、「隠された初期被ばく」の見える化を~福島県に要望書を提出 福島県・国と会合 深まる謎(FoE Japan)を見ると、「避難時の混乱の中で、スクリーニングレベルは10万cpmに引き上げられたばかりか、甲状腺検査は行われず、記録もほとんど残されませんでした。」とされているので、私は政府が把握し、国連に提出した甲状腺等価線量の推定データは信頼出来ないと思っています。*2
    また、長谷川健一さん死去 「原発事故被害者団体連絡会」共同代表(東京新聞 2021年10月26日)という話があるのですが、甲状腺がんは非常に死亡率が低いがんで、高度に汚染された飯館村に住んでいた長谷川さんがかなり確率が低い事象にたまたま当たってしまったという事は私は考えにくいです。
    政府は、原発事故後の未公表データで食品から高濃度のヨウ素132〜福島県(OurPlanet-TV 08/25/2021)等のデータを加味し、もう一度甲状腺の被曝量の推定をやり直すべきではないでしょうか。
    *1 ACS JOURNALSのThyroid carcinoma in children and adolescents in Ukraine after the Chernobyl nuclear accidentの「Table 3.」の表の「1986–1997」の列のデータを見てもらいたいのですが、Gy=Svとみなしているようです。
    追記:
    がんは正常な細胞が何段階かの遺伝子の変異を行った後に生まれるものだとされているのですが、甲状腺を全摘出した場合は、甲状腺内の正常細胞がどの程度遺伝子の変異を行っているのか調べて、福島第一原発事故以外の原因で甲状腺の全摘出を行った場合と比較すれば、何らかの事実が判明するのではないでしょうか。
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