ビル・ゲイツの高速炉について(2)

ビル・ゲイツの高速炉についての続きですが、進行波炉(Wikipedia)の実用化のためには、
(1) 核燃料の燃焼に伴って、ウラン238が中性子を吸収してプルトニウム239が出来て、さらに中性子を吸収してプルトニウム240やプルトニウム241等の元素が出来てプルトニウム241がアメリシウム241に崩壊するが、進行波炉ではコスト削減のため再処理を行ったMOX燃料を使用せず、プルトニウム富化度(ATOMICA)が低いと考えられるため、アメリシウム241等の中性子を吸収しやすい元素が出来た場合に中性子が足りなくなって反応が思うように進まなくなる可能性はないか。
(2) 原子炉を長期間停止すると、核燃料中のアメリシウム241が多くなり、(1)と同様の理由により、核燃料を大量に交換しないと臨界を再開出来なくなる可能性はないか。
(3) 腐食性が高い高温の液体ナトリウムを冷却材に使うため、核燃料の被覆材には中性子を吸収しやすいステンレスを使用しなけらばならず、(1)と(2)を克服するためにも、核燃料の間隔はかなり狭めなければならず、制御棒を細くして本数も増やさなけらばならないと思うが、大量の制御棒を過酷な状況で駆動してトラブルが起きないようにする事が出来るのか。
(4) プルトニウムを燃焼させる原子炉の宿命であると考えるが、原子量が偶数の超ウラン元素が温度が上昇して自発核分裂が盛んになって原子炉が暴走する可能性をどうやって防ぐのか。*1
というような問題を克服する必要があるのではないでしょうか。
それと、進行波炉の危険性は、詳細な話や地震や津波が起きた場合の話は省略しますが、ともかく液体ナトリウムが何らかの原因で空気に触れて燃えてしまった場合に、大火災になって核燃料まで燃えてしまって大量の放射性物質が放出される可能性があるという事と、プルトニウムを燃焼させるため、MOX燃料を燃焼させるプルサーマル運転と同様、(4)の暴走が起きる可能性があるという事であり、過酷事故が起きた場合に、水で核燃料を冷やしたりナトリウム火災を消火する事が出来ないという事ではないでしょうか。*2
また、生成される放射性物質の量が少ないのは、単に再処理を行わないからという事でしかなく、同じ出力なら発生する放射性物質の量は、軽水炉でウラン燃料を燃焼した場合とそれほど大差はないのではないでしょうか。
尚、私は進行波炉については(1)~(4)の問題があるし、技術的なハードルが高い割には得られる出力が少ないと思うので、現時点では、仮に実用化出来たとしても直ぐに廃れるような気がしています。
結局ビル・ゲイツは、ビル・ゲイツやグーグルが出資、米MIT発の核融合ベンチャーの正体(日刊工業新聞 2021年12月3日)核融合炉の危険性と問題性についてを見比べればわかるとおり、不確実な技術を利用して投資家から資金を集めているだけのようにも思えて来たのですが、進行波炉は出力が低くてウラン238からプルトニウム239への転換効率が悪いけれども、稼働中に核燃料を交換する事が出来る可能性がある関係で、うまく行けば核兵器用のプルトニウムをそれなりの効率で生産出来るかもしれないので、アメリカの軍需独占体は様子を見ているのかもしれいですね。
*1 この件については、福島第一原発の3号機の爆発についてを見もらいたいのですが、暴走しないようにするためには、もんじゅと同様にプラントの状態を健全に保ち、液体ナトリウムが一程度以上沸騰したり気泡が紛れ込まないように制御し、液体ナトリウムが一程度以上沸騰したり気泡が紛れ込んでしまった場合は制御棒で原子炉の暴走を止めるしかなく、万が一制御棒による制御が間に合わなければ、原子炉が暴走して即発臨界による核爆発が起きる事になるのではないでしょうか。
*2 プルサーマル運転の危険性と問題性については、プルサーマル運転の危険性と問題性についてを見てください。
追記:
テラパワー#ナトリウム(Wikipedia)に記されている、ビル・ゲイツの進行波炉には、溶融塩エネルギー貯蔵システムが使用されるようですが、もんじゅのように液体ナトリウムの熱を水に伝達してタービンを回すようにすると、熱交換器に穴が開いた場合に爆発的な火災が起きてしまうので、そのようにならないようにするために、液体ナトリウムの熱を溶融塩(Wikipedia)に伝達するようにしているのではないでしょうか。

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