小林・益川理論について

本日、益川敏英さん(Wikipedia)が7月23日に死去されたという悲報がありましたが、益川さんの追悼の意を込めて、小林・益川理論(Wikipedia)について、かなり背伸びをして説明したいと思います。
小林・益川理論は、それまでに見つかっていたu,d,s,cの2世代×2のクォーク(Wikipedia)にもう1世代×2のクォーク(t,b)を付け加えて、クォークは全部で3世代×2存在すると仮定して、CP対称性の破れ(Wikipedia)の現象論的な説明に成功した理論で、発表は1973年のようです。
益川さんと小林さんは、1970年に発表されたu,d,s,cの2世代×2のクォークが弱い相互作用を媒介して、別の種類のクォークに遷移する確率を分析する事によって得られたGIM機構(GIMはGlashow,Illipoulos,Mianiの頭文字)では、K中間子(Wikipedia)のCP対称性の破れを説明出来ない事に問題意識を持ち、GIM機構のベースとなった2行2列のユニタリー行列(Wikipedia)を発展させ、3行3列のユニタリー行列であるカビボ・小林・益川行列(Wikipedia)を使用してu,d,s,cの遷移確率を正確化してCP対称性の破れの現象論的説明に成功するとともに、未発見の1世代×2のクォークの存在を予言し、後にそれらのクォーク(t,b)が加速器で発見される事になったという事のようです。
GIM機構で採用された2行2列のユニタリー行列からはCP対称性の破れが出て来なくて、益川さんと小林さんの3行3列のユニタリー行列からCP対称性の破れが出て来る理由を数学的に説明すると大変なので、結論的な事だけを書きますが、弱い相互作用における各クォークの遷移確率を
2行2列のユニタリー行列で表現した場合の物理的な自由度は1つであり、その自由度はカビボ角(Wikipedia)となるけれども、3行3列のユニタリー行列で表現した場合は自由度が4つとなり、そのうちの3つの自由度は、カビボ角の3次元版の回転角であると見なせる事になり、もう1つの自由度は、CP対称性の破れの自由度と見なせるという事のようです。
さらに言うと、GIM機構に於ける2行2列のユニタリー行列の要素は全て実数でしたが、益川さんと小林さんの3行3列のユニタリー行列は、複素数を含む事によって初めてCP対称性の破れを表現する事が出来るそうです。
尚、私達が小林・益川理論から得る事が出来る教訓は、ある理論がうまくゆかない場合、現象を説明する要素を増やす事によって、また、これまでわ かっている階層の中に未知の実体がまだ存在すると仮定する事によって、より正しい理論を構築出来たり、これまで認識できなかった実体を発見できる場合があるという事ではないでしょうか。

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