2021/07/18
二酸化炭素の赤外線吸収について
地球温暖化懐疑論者の皆さんへ(2)で、「主張2:CO2とメタンの赤外線吸収域は水蒸気の赤外線吸収域と重なっていて、これらの領域の赤外線放射は既にCO2とメタンと水蒸気によって全て吸収されているため、CO2やメタンの濃度が増えてもこれ以上地球が温暖化する事はない。」という地球温暖化懐疑論者のに対して、「それは赤外線放射スペクトルの細かい谷が潰れてしまっているだけであるとしか考えらない」という反論をしていたのですが、どうもこの反論はおかしいと思ってネットを調べて見ました。
すると、二酸化炭素の主要な赤外線吸収波長の約13~17μmの波長帯は、日本地球化学会の温室効果とは?地球の温暖化とは?では、この波長帯の赤外線は宇宙空間に殆ど放出されないけれど、二酸化炭素濃度が多くなるとこの波長帯の赤外線を二酸化炭素が吸収して地表に近い部分の温度が上がり、「成層圏では、温室効果気体の濃度が増すと逆に気温が下がります。」という事が分かりました。*1
この事を説明する図を作成しましたので、下の図を見てもらいたいのですが、この図で、二酸化炭素の主要な赤外線吸収波長の13~17μmは大気の窓(Wikipedia)の波長帯とあまり重なっていないけれども、二酸化炭素濃度の上昇が地球の地表部分を温暖化させる事を理解していただけるのではないでしょうか。*2
尚、地球自体は典型的な複雑系であり、地球温暖化の仕組みの理解は大変難しいため、二酸化炭素や水蒸気は地球温暖化の原因ではないとか、原発が出す温排水は地球温暖化と関係ないというような安易な説が世の中で流布されてしまうのだと思いますが、二酸化炭素よりも水蒸気の方が温室効果が高い事と、二酸化炭素の増加による気温の増加が水蒸気を増加させる事に注意してください。*3 *4
*1 二酸化炭素の赤外線吸収波長の13~17μmの赤外線のエネルギーは、大気中にたまり続けると、大気は何処までも熱くなってしまうため、何らかの形で最終的には宇宙に放出されるけれど、大気全体の熱平衡温度を上昇させるのではないかと考えます。
*1 二酸化炭素の赤外線吸収波長の13~17μmの赤外線のエネルギーは、大気中にたまり続けると、大気は何処までも熱くなってしまうため、何らかの形で最終的には宇宙に放出されるけれど、大気全体の熱平衡温度を上昇させるのではないかと考えます。
*2 水蒸気もメタンも二酸化炭素と同様の理由で地球を温暖化させますが、メタンの危険性については、メタンによる地球温暖化についてを見てください。
*3 原発が出す温排水が地球温暖化につながると考えられる理由は、地球温暖化の最大の原因は原発と再処理ですよね?(2)を見てください。*4 海水の温度が上がると、海水の二酸化炭素の吸収量が減り、この事によって二酸化炭素が増える事と、水蒸気量が増えて地球温暖化さらに促進するという悪循環が起きている事にも注意が必要です。
追記:
砂漠のような乾燥地帯では、二酸化炭素以上に温暖化効果が高い水蒸気が僅かしか存在しないため、二酸化炭素の赤外線吸収域の赤外線が宇宙空間により多く放出される事に注意してください。
追記2:
Yahoo!知恵袋[q14249954599]での指摘に基づいて説明図を大幅に訂正しましたが、二酸化炭素の赤外線吸収について(2)も見てください。
追記3:
説明図のスケールを「数メータ」から「数十メータ」に訂正しましたが、訂正のきっかけになった情報は、紀州情報研究所の二酸化炭素15μm吸収帯赤外線カメラによる 温室効果ガス可視化デモンストレーションです。
追記4:
説明図のスケールを「数十メータ」からさらに「数百メータ」訂正しましたが、二酸化炭素の吸収域全体の吸収量を考慮しなければならない事に気が付いたためです。
追記5:(2022/9/22)
大気の窓=地球放射の窓という事が分かりましたので、記事のタイトルと関連部分の訂正を行いました。
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