2021/05/28
ラッセルのパラドックスについて
物理の分野で一般受けするパラドックスは殆ど説明してしまったのではないかと思うので、数学の分野で一般の受けを狙ってラッセルのパラドックスについて説明したいと思います。という事で、上記のように考えてラッセルのパラドックスについてネットを漁って見たのですが、私はすっきり理解出来る説明が見当たらなかったため、ラッセルのパラドックスについて説明を試みたいと思います。
まず、ラッセルのパラドックス(Wikipedia)を見てもらいたいのですが、ラッセルのパラドックスの内容は、ごく簡単に言うと、R={x|x∉x}という集合を要素とした集合は矛盾した集合であるという事のようです。
例えばR={x|x∉y}と置いて、xを集合の要素を表す変数としてyを「嘘つきの集合」とすれば、R={x|x∉y}は「嘘つきの集合に含まれない正直者の集合」となり、矛盾は起きません。
ところが、R={x|x∉x}の3つのxを全て同じ集合を表す変数とし、xを「嘘つきの集合」にしょうとした場合、最初にR={x|x∉x}の2番目のxと3番目のxを「嘘つきの集合」に確定する必要があり、この場合、1番目のxは「嘘つきの集合に含まれない嘘つきの集合」となるので、この時点で最初のxの定義と矛盾する事になります。
そして、R={x|x∉x}は1番目のxを要素にした集合なので、矛盾したまま解釈を続けると、Rは「嘘つきの集合に含まれない嘘つきの集合の集合」となるので、Rは「嘘つきの集合の集合」とも「正直者の集合の集合」とも分からない矛盾した集合の集合となります。
また、ラッセルのパラドックス(Wikipedia)の「いまR∈Rと仮定すると、Rの定義によりR∉Rとなるから」というのは、Rは自分自身の要素を含む自分自身を自分自身が含むと定義すると、R={x|x∉x}は、Rは自分自身の要素を含まない集合という意味になり、自分自身が自分自身の要素を含む自分自身を含まないという事と等しくなるので、矛盾していると言っているのではないでしょうか。
ラッセルのパラドックス(Wikipedia)では、このパラドックスは集合や集合の演算を矛盾が起きないようにきちんと定義しないために生じるパラドックスであり、ZFC集合論ではこのようなパラドックスは起きないとされているようですので、ZFC集合論が構築された現在において、このパラドックスを集合論のレベルで厳密に考えてもあまり得るものはないのではないでしょうか。
尚、ラッセルのパラドックスは、自己言及のパラドックス(Wikipedia)の一種で、プログラミング言語で言えば、バグがある再帰的プログラムのようなものだと思いますが、自己言及のパラドックスを知っていると、嘘つき集団に騙されなくて済むのではないでしょうか(笑)
因みに、世の中には「宇宙は不確定である」というように断定する方が多くいらっしゃると思いますが、そのような方は、その断定自体も不確定である事になってしまう事に気が付いていないのではないでしょうか。
私は、そんな面倒なパラドックスを避けたいという意味でも、非局所的な隠れた変数理論について等で、宇宙の超決定性の存在を仮定している訳ですが、いかがでしょうか?(笑)
- 関連記事
コメント