Yahoo!知恵袋(原子力)の質問を見て久しぶりに脳内で稲妻が走ったので、どこかの国の忘れっぽい大臣と同じように忘れてしまわないうちにこちらに記しておきたいと思います(笑) 質問内容は、こちらの記事のタイトルと同じ内容だったのですが、235Uや239Puのような原子番号が偶数で原子量が奇数の原子核は、ざっくり言えば複数のヘリウム原子核と複数の中性子対とたった一つの単独の中性子だけで出来ているようなもので、235Uや239Puが中性子を吸収して核力で加速されて高いエネルギーを獲得した中性子と原子核を構成しているたった一つの単独の中性子が高いエネルギーを持った中性子対を形成し、その中性子対が巨視的に見てアイソスピンが1(整数)となって原子核内の他の中性子に対してアイソスピンによる縮退圧がほとんど働かないため、原子核内の他の中性子に接近して核力を強く発揮して原子核の連続的変形を起こせるから核分裂が起きやすいのではないでしょうか。*1
一方、238Uや240Puのような原子番号と原子量が偶数の原子核は、ざっくり言えば複数のヘリウム原子核と複数の中性子対だけで出来ているようなもので、熱中性子を吸収してその中性子が核力で加速されてエネルギーを高めても、中性子対を形成出来ない単独の中性子はアイソスピンが1/2(半整数)なので、アイソスピンによる縮退圧によって他の中性子に近づけないため、核力を強く発揮出来なくて核分裂を起こすための原子核の連続的変形を起こせないので、熱中性子程度のエネルギーの中性子では核分裂を起こせないという事ではないでしょうか。*2
そして、ヘリウム原子核のアイソスピンは巨視的に0(整数)となりますが、原子核内で陽子と中性子が可能な限りヘリウム原子核や陽子・中性子対や中性子対を形成するのは、アイソスピンが巨視的に0または1(整数)になったほうが原子核を構成する核子間の平均距離が短くなって核子間に核力が強く働いて核子の運動エネルギーが低下して原子核が安定するからではないでしょうか。*3 *4
*2 高速中性子の場合は確率は低いですが、238Uや240Pu等でも核分裂が起きる事に注意してください。
*3 原子番号が奇数の場合は、陽子・中性子対が必ず1つだけ存在しているのではないかと思いますが、陽子と中性子の対が1つしか出来ないのは、ヘリウム原子核のほうが核子一つ当たりの結合力が陽子・中性子対よりも大きい事によって説明出来るのではないでしょうか。
*4 α崩壊は、原子核内のヘリウム原子核がトンネル効果によって原子核から飛び出す現象というようにとらえる事が出来るのではないでしょうか。