ベルの不等式の破れについて(2)であいまいな説明で言葉を濁して逃げていたのですが、私のような人間でもベル不等式の破れ(=EPRパラドックス)を理解出来る説明を考えて下の説明図を作って見ました。 量子のスピン方向の測定におけるベル不等式の破れを理解するためのポイントは、以下の通りです。
(1) 必ずどちらか一方の地点で先に測定するように測定ユニットを設置すると話が分かりやすい。
(2) 先に測定する地点で測定した瞬間に両地点のスピン方向が確定するが、両地点のスピン方向の状態は、先に測定した地点の測定方向と測定結果によって完全に決定される事を理解する。*1
(3) 一つの地点で二つの測定方向による同時測定は出来ないため、2地点×1ユニット×2方向=4方向の測定結果を二つの測定方向による同時測定が出来ると仮定して集計してベルの不等式の破れを評価(=解釈)する必要がある。*2
下の説明図の場合、A地点とB地点の測定ユニットの角度のズレは45°でcos45°=1/√2でcos135°=-1/√2ですから、後で測定する地点の測定器でスピン測定結果の平均値が1/√2や-1/√2になる事は殆ど自明に思えると思いますが、測定器の回転に合わせてパウリ行列を回転変換した行列とスピンの方向を表す状態ベクトルを使って平均値を計算するとこの事を確認出来ますので、この計算法をネットで調べてもらえないでしょうか(笑)
*1 (2)の内容が、古典論的な現象の測定では存在しない「非局所的相関」といわれる事象の内実です。
*2 未知の影響を排除するため、どちらの地点でどちらの測定器でどのような角度で測定するかやスピンの方向等は完全にランダムになるようにしなければならないようです。
追記:追記2:
追記3:(2023/4/11)
AとA'もBとB'も同時測定が不可能なので、AとA'もBとB'もどちらで測定するのかランダムに決めるとすると、A,A'B,B'で測定する確率はそれぞれ1/2ですから、|(<AB>-<AB’>+<A’B>+<A’B’>)/2|と2を比較するのが自然だと思えるのですが、ベルの不等式はAとA'もBとB'も同時測定が可能な古典論的なスピンと比較するために|(<AB>-<AB’>+<A’B>+<A’B’>)/2|を2倍にして|<AB>-<AB’>+<A’B>+<A’B’>|と2を比較するルールになっていると考える事も可能ではないでしょうか。
したがって、この事を考慮すれば、ベルの不等式は現実的には破れていないと解釈する事も可能ではないでしょうか(笑)