どうしてトリチウムは危険なのか(7)

原発推進派は、トリチウムは自然界でも大量に生成されているが、自然界で生成されたトリチウムには有害性は認められないから、トリチウムは危険ではないという事を言って処理水中に大量のトリチウムが含まれている事を正当化していますが、どうしてトリチウムは危険なのか(6)の続きとして、この事について反論しておきたいと思います。
確かに、京都女子大学の自然環境中のトリチウム生成のシミュレーションとその評価によると、宇宙線によるトリチウムの年間生産量は「(5.7~7.2)×10^16[Bq/year]」で環境省の第2章 放射線による被ばく 2.5 身の回りの放射線によると「原子力施設からの年間放出量 2×10^16Bq」とされていて、原子力施設からの年間放出量は宇宙線による年間生産量の半分以下なので、この事を見ると処理水中のトリチウムは大して問題はないと思う人がいるかもしれません。
ただし、そのように考える方は、原子力施設や福島で放出されるトリチウムは非常に狭い範囲に大量に放出されるという事と、岩倉政城さんの事故原発汚染水から高濃度有機結合型トリチウムが生成 海洋放出で魚介類に濃縮が 国と東電は無機トリチウムだから危険は無視できると言い逃れてきた(2020/6/14)を見ればわかる通り、処理水が放出される海域の海洋生物内でトリチウムが生体濃縮される事と、生体濃縮された海洋生物を食べる人間は、海洋生物と同じかそれ以上にトリチウムが濃縮される可能性がある事を全く考慮していないのではないでしょうか。
また、東電はトリチウムが1500Bq/L以下になるようにして処理水を海洋放出するそうですが、通常の海水は茨木県のALPS処理水の海洋放出に係る茨城県沖におけるトリチウム濃度モニタリング結果を見ると平均で0.1Bq/L以下なので、1500Bq/Lというのは自然環境の1万倍以上になります。
私は、処理水の排出口付近のトリチウムが通常の海水の1万倍以上の環境で育った海洋生物を摂取しても安全だとはとても思えないのですが、皆さんはいかがでしょうか。
尚、牡蛎で福島第一原発の処理水を処理する方法がある?をまだ見ていない人は、どうか見てください。
追記:
大気圏内核実験によって地球上のトリチウムが大幅に増えた時に小児がんが増えた事については、どうしてトリチウムは危険なのか(4)「白血病における2006年問題」をご存じでしたか?を見てください。

やはり甲状腺がんの多発は原発事故のせいではないですか

福島第一原発事故ではチェルノブイリ原発事故と違って事故発生当時0~5歳の小児甲状腺がんが少ないから福島県の甲状腺がんの多発は放射能の影響ではないという説がありますが、私が福島県の参考資料2_甲状腺検査結果の状況 [PDFファイル/1.33MB]を調べてみたところ、4巡目の2018~2019年度の検査では事故発生当時0~5歳だった被検査者から発見された小児甲状腺がんの発見者数は6人でした。*1
4巡目の2018~2019年度の検査で事故発生当時0~5歳だった被検査者の総数を6万人と仮定すると、甲状腺がんの発見率は6人/約6万人/2年×10万人=約5人/10万人年です。
事故発生当時0~5歳だった被検査者は4巡目の2018~2019年度の検査時点においては7~13歳ですので、2011~2013年度の検査では、検査時に7~13歳の小児甲状腺がんの発見者を調べたところ、12人でした。
1巡目の2011~2013年度の検査時に7~13歳だった被検査者の総数を約10万人と仮定すると、甲状腺がんの発見率は12人/約10万人/3年×10万人=約4人/10万人年です。
したがって私の見積もりが正しければ、事故発生当時0~5歳だった被検査者の甲状腺がんの発見率は、7~13歳になった時点で4巡目の検査であるにもかかわらず、1巡目の検査の7~13歳の被検査者の甲状腺がんの発見率とほとんど変わりがないという事になります。*1 *2
この私の見積もり結果は、会津若松市の放射線Q&A18:甲状腺がんが見つかる人が増えているが原発事故の影響?で記されている『通常だと大人になってしこりなどから発見されるものが、精度の高い超音波検査で、小さいがんを早めに見つけている』という説明と実際の状況は全くかけ離れているという事を、福島の甲状腺がんの「過剰診断」を見える化して見ました以上に明確に示しているのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
尚、福島第一原発事故ではチェルノブイリ原発事故と違って事故発生当時0~5歳の小児甲状腺がんが少ない理由についての私の考えはどうして福島は小児甲状腺がんの発見が早かったのかを見てください。
*1 1巡目では事故発生当時0~5歳だった被検査者の甲状腺がんの発見者は0人で2巡目の発見者は1人で3巡目の発見者は2人でしたが、もし原発推進派が言うように、過剰診断で甲状腺がんが早めに見つかっているとすれば、4巡目の2018~2019年度の検査時点においては7~13歳の被検査者の発見者は、感覚的に考えると少なくとも2人以下にならなければならのではないでしょうか。
*2 184人以外にも未公表の甲状腺がん〜事故当時4歳も(OurPlanet-TV 2017/03/31)という話もあるようですので、福島県が公表しているデータには不正確さがあるある可能性がありますが、こちらの記事は、とりあえず福島県が公表しているデータに基づいて記していますので、この事については十分注意してください。

福島の甲状腺がんの遺伝子異常の特徴が分かりました!?

福島の甲状腺がんの発見率の地域差が分かりました!!で原発推進派が詰んだ事がよく分かっていただけたと思いますが、詰みをさらに確実にするために、J-STAGEの福島で発見された小児若年者甲状腺癌についての「福島での138例での検討は図 1[11,12]に示す様に本邦の成人例の乳頭癌症例に近い遺伝子プロファイリングを示し,チェルノブイリの放射線誘発例とは大きく異なっている」理由を説明出来る可能性がある仮説をここで記しておきたいと思います。
私は、福島の小児甲状腺がんの成長速度は年約3.5mmですか?で「通常のがんは一つのがん細胞から10mmの腫瘍になるまでに10~20年程度かかると言われているので、福島の甲状腺がんが原発事故の影響であると仮定すれば、もともと存在していた小さな良性腫瘍細胞の中の多数の細胞が放射線で一斉に悪性化したと考えたほうが良いのではないでしょうか。」と記して、福島の甲状腺がんの腫瘍の成長のスピードが速い理由を説明出来る仮説を記していました。
ここで、 J-STAGEの福島で発見された小児若年者甲状腺癌についての「図1 乳頭癌の遺伝子プロファイル,チェルノブイリ,日本,TCGA(The Cancer Genome Atlas project)の比較」を見てもらいたいのですが、私の上記の仮説が正しいと仮定し、良性腫瘍細胞ががん化した場合は"Point mutations"(=遺伝子の点突然変異)の異常の割合が多く、正常細胞が直接がん化した場合は"Gene rearangements"(=遺伝子再構成)の異常の割合が多いと仮定すると、福島ではチェルノブイリ原発事故の教訓を生かして被ばく対策が効果を発揮し、事故発生当時に良性腫瘍細胞が少ない乳幼児だった子供の発がん率を抑えられたために、正常細胞が直接がん化したがん細胞の遺伝子サンプルが少なかったので、"Gene rearangements"の異常の割合が少なかったという事になるのではないでしょうか。
追記:(2023/3/27)
「通常のがんは一つのがん細胞から10mmの腫瘍になるまでに10~20年程度かかると言われているので、福島の甲状腺がんが原発事故の影響であると仮定すれば、もともと存在していた小さな良性腫瘍細胞の中の多数の細胞が放射線で一斉に悪性化したと考えたほうが良いのではないでしょうか。」という私の仮説が正しければ、福島で発生した甲状腺がんの悪性腫瘍細胞の一人当たりの遺伝子変異パターンは、自然発生による悪性腫瘍細胞の一人当たりの遺伝子変異パターンよりも多く、悪性度の高い遺伝子変異パターンの発生確率が高くなると思いますので、福島で発生した甲状腺がんの悪性腫瘍細胞の遺伝子変異パターンを良く調べれば、自然発生によって発生した甲状腺がんの遺伝子の変異パターンとは明らかに異なる事が分かる可能性があるのではないでしょうか。
※下の画像は、スタジオジブリのサイトのこちらから入手したものです。
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福島の甲状腺がんの発見率の地域差が分かりました!!

原発推進派は、福島の甲状腺がんは地域差が認められないから放射能のせいではないと言っていますが、こちらの主張についてネットを検索してファクトチェックを行ったところ、放射線被ばくを学習する会福島県「県民健康調査」検討委員会、同「甲状腺検査評価部会」に甲状腺がん多発の原因究明を求める申入書を送付しました(2018年8月27日)のと3.11子ども甲状腺がん裁判 弁護団長 井戸謙一さんの福島・甲状腺がんを発症した 若者たちの訴えの情報(後者はPDFのP26)が見つかりました。
因みに、後者の情報を見ると、2011~13年度に行われた1巡目の検査ではあまり地域差が見られなかったようですが、2013~14年度に行われた2巡目では明らかな地域差が出たので、「評価部会は解析を中止した。」そうですが、3巡目以降もきちんと解析すれば、地域差がより明確になる可能性があるのではないでしょうか。
ネットが出来てすごく便利になったのに、どうして未だに原発推進派に騙される人が多いのか不思議でならないのですねが、2018年に明らかになった決定的な情報を今頃見つけている私がいけないのでしょうかね(反省)
それにしても、福島の甲状腺がんの「過剰診断」を見える化して見ましたの内容とこちらの甲状腺がんの発見率の地域差が分かるデータを見れば、原発推進派はすでに完璧に詰んでいると思えるのですが、いかがでしょうか。
追記:
※下の画像は、スタジオジブリのサイトのこちらから入手したものです。
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『サイエンス』が非科学的な「処理水」記事を出した?

科学誌『サイエンス』が非科学的な「処理水」記事を出した背景(Wedge ONLINE 2023年2月10日)によると、「世界的に有名な自然科学週刊誌である「サイエンス」が信じられない記事を掲載した。」そうですが、Despite opposition, Japan may soon dump Fukushima wastewater into the Pacific(Science 24 Jan 2023)の記事は、原発推進派にとってかなり不都合な記事のようですね。
それと、トリチウムが危険な理由は、どうしてトリチウムは危険なのか(5)を見てください。
Yahoo!知恵袋[q11278137681]で質問して見ました。

福島の甲状腺がんの「過剰診断」を見える化して見ました

3巡目の「過剰診断」でも甲状腺がんが通常の約6倍?で福島の小児甲状腺がんの「過剰診断」の結果の異常性を力説しましたが、私は優しい暇人なので、言葉や数字では理解出来ないという方のために、福島の小児甲状腺がんの「過剰診断」の結果の異常性を見える化したグラフを作成して下に添付しました。
尚、1巡目の【実施年度:平成 23 年度~25 年度】の「過剰診断」の発見率は、福島県の参考資料2_甲状腺検査結果の状況 [PDFファイル/1.33MB]によると「悪性ないし悪性疑い116 人」「受診者数300,472 人」なので、116人/300,472人/3年×10万人=約12.9人/10万人年となりました。
「通常罹患率(推定)」については、検査対象となっている福島第一原発事故当時20歳未満の人たちの集団の通常の罹患率をcancer_incidence(1975-2015).xls(2,222KB)の中の2010年の年齢等級ごとの甲状腺がんの罹患率から推定したもで、数値の根拠は福島の小児甲状腺がん激増の確認法について3巡目の「過剰診断」でも甲状腺がんが通常の約6倍?を見てください。
こちらの数値はかなりの誤差はあるとは思いますが、参考程度にはなるのではないかと思っています。
下のグラフを見て、3巡目の「過剰診断」でも甲状腺がんが通常の約6倍?「事故発生から約2年の間隔を空けて2回も「過剰診断」を行って来た受診者が、どうして3巡目の「過剰診断」で通常の約6倍ものがんが見つかるのか不思議でならないのは私の頭が悪いからなのでしょうか?」や「これでも会津若松市の放射線Q&A18:甲状腺がんが見つかる人が増えているが原発事故の影響?で記されている通り、『通常だと大人になってしこりなどから発見されるものが、精度の高い超音波検査で、小さいがんを早めに見つけているという事なのでしょうか?」と記した意味を理解していただけたでしょうか??
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3巡目の「過剰診断」でも甲状腺がんが通常の約6倍?

※こちらは、「3回目の「過剰診断」でも甲状腺がんが普通の約5倍?」(2022/11/28)を訂正するために投稿した記事です。
福島県の第19回甲状腺検査評価部会(令和4年8月1日)の議事録についての中の参考資料2_甲状腺検査結果の状況 [PDFファイル/1.33MB]によると、2016~2017年度の3回目の「過剰診断」では「悪性ないし悪性疑い」が31人で、母数は約22万人で期間は2年ですから「悪性ないし悪性疑い」の発見率は31人/2年/約22万人×10万倍=約7人/10万人年となります。
それと、がん情報サービスのcancer_incidence(1975-2015).xls(2,222KB)の中の2010年の5~24才の平均罹患率は下のデータを見ると分かりますが、5~24才の年齢区分の罹患率を平均すると約1.1人/10万人年となっていますので、事故後約5から6年後に行われた3回目の「過剰診断」で発見された「悪性ないし悪性疑い」の人数を計算すると(約7.0人/10万人年)/(約1.1人/10万人年)=約6倍となりました。*1
事故発生から約2年の間隔を空けて2回も「過剰診断」を行って来た受診者が、どうして3巡目の「過剰診断」で通常の約6倍ものがんが見つかるのか不思議でならないのは私の頭が悪いからなのでしょうか?
また、高精度スクリーニングで「平均腫瘍径は14.2ミリ」?で記した内容の繰り返しになりますが、参考資料2_甲状腺検査結果の状況 [PDFファイル/1.33MB]の「平均腫瘍径」を見ると、「過剰診断」の結果、かなり大きな腫瘍も切除されている事が分かりますが、これでも会津若松市の放射線Q&A18:甲状腺がんが見つかる人が増えているが原発事故の影響?で記されている通り、「通常だと大人になってしこりなどから発見されるものが、精度の高い超音波検査で、小さいがんを早めに見つけている」という事なのでしょうか?
*1 私の計算では、1巡目の「過剰診断」では2010年の全国平均の約20倍になりましたので、福島の小児甲状腺がん激増の確認法についてを見てください。
Yahoo!知恵袋[q14275747294]で質問して見ました。
追記:
2巡目の「過剰診断」について計算すると、71人/2年/約27万人×10万倍=約13人/10万人年となり、3~22才の年齢区分の罹患率が正確には分かりませんが、仮に2010年の0~24歳の年齢区分の罹患率の平均を採用すると約0.86人/10万人年なので、(約13人/10万人年)/(約0.86人/10万人年)=約15倍となりました。
追記2:(2023/2/19)
追記3:(2023/2/20)
4巡目の「過剰診断」について計算すると、37人/2年/約18万人×10万倍=約10人/10万人年となり、7~26才の年齢区分の罹患率が正確には分かりませんが、仮に2010年の10~29歳の年齢区分の罹患率の平均を採用すると約2.05人/10万人年なので、(約10人/10万人年)/(約02.05人/10万人年)=約5倍となりました。
それにしても、「通常だと大人になってしこりなどから発見されるものが、精度の高い超音波検査で、小さいがんを早めに見つけている」割には、どうしてこんなに甲状腺がんの発見率が高いのでしょうかね?
追記4:
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「小児甲状腺がんの潜伏期間は1年7ヶ月!?」だそうです(2)

Yahoo!知恵袋(原子力災害)で、「小児甲状腺がんの潜伏期間は1年7ヶ月!?」だそうですの内容をどうしても認められない人がいるので、誤った認識が広がらないようにするために、Yahoo!知恵袋[q12275493712]で質問を行いました。
福島で原発事故以降多発している小児甲状腺がんに興味がある方は、Yahoo!知恵袋[q12275493712]こちらをどうか見てください。
Yahoo!知恵袋[q13275584003]でも質問して見ました。

牡蛎で福島第一原発の処理水を処理する方法がある?

こちらの情報によると、「太平洋に棲息する特定の種の牡蠣には、放射能物質を濾過できる機能がある。貯蔵タンク1棟あたり1000個の牡蠣を入れて汚染を除去させた後、牡蠣を安全に処理する方法がある」そうですが、文脈から判断すると、「特定の種の牡蠣」はトリチウムも吸収するので、こちらの方法でトリチウムも除去出来るというという事ではないでしょうか。
それと、「日本が放出しようとしている福島原発事故の汚染水の中にどのようなものが入っているのかという質問に対し、私たちの答は『分からない』というものです。日本の東京電力の(汚染水測定)データは、不完全かつ不適合で一貫性がなく、ときに偏向しています」という事だそうなので、処理水の海洋放出は本当に危険極まりないと思うのですが、このように私が思うのは、私が臆病な小市民だからでしょうか?
Yahoo!知恵袋[q11278137681]で質問して見ました。

乳がん(上皮内がん含む)の激増は原発のせい?(3)

乳がん(上皮内がん含む)の激増は原発のせい?(2)の続きですが、乳がんの激増の原因を推理するために、乳がん(上皮内がん含む)の激増は原発のせい?のグラフの元になったデータの20~50歳未満の年齢区分の乳がん(上皮内がん含む)の罹患率をグラフ化してみました。*1
このグラフを見ると、20~34歳の年齢区分では、罹患率が「白血病における2006年問題」をご存じでしたか?子宮がん(上皮内がん含む)の激増は原発のせい?のグラフと同様に、2006年頃を境にして罹患率が増加している事が分かりました。
それと、40~44歳の年齢区分では、1992~1993年にかけて罹患率のピークが見られますが、これはもしかすると、チェルノブイリ原発事故の影響かもしれないですね。
また、35~39歳の年齢区分では、2002年頃を境にして罹患率が増加していますが、これは、幼少期に大気圏核実験の影響でトリチウムを摂取して来た事が影響しているのではないでしょうか。
尚、2000年代は、携帯やスマホやWifiやBluetooth等の極短波やマイクロ波の電磁波が爆発的に増加した時期なので、放射能だけではなく、胸の近くでスマホを長時間操作する事によって、乳がんやその他のがんの罹患率が上昇した可能性もあるのではないかと思えて来たのですが、興味がある方は「ブラジャー 携帯 乳がん」でネットを調べて見てください。
*1 20歳未満の発症率はほぼ0なので、グラフ化は省略しました。
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乳がん(上皮内がん含む)の激増は原発のせい?(2)

Yahoo!知恵袋[q12274498652]で質問を行い、ネットで乳がんと原発の関係を調べたところ、富山保険医協会の2012.8.2 講演会 チェルノブイリからフクシマを考えるというものを見つけたのですが、こちらの最後の「アメリカの乳がん発生率と原子力施設」の図の出典先を探したところ、私設原子力資料室の続・奇妙な一致(2)というものを見つけましたので、特に女性の方はどうか見てください。
こちらの記事を見ると、アメリカの原子力関係施設の周辺で乳がんの罹患率が高い事が分かるのではないでしょうか。*1
日本の乳がんの罹患率の年次推移は、乳がん(上皮内がん含む)の激増は原発のせい?のグラフを見て下さい。
それと、トリチウムの特別の危険性(Go West Come West集会 2018年9月2日)のP21によれば、トリチウムは乳がんにも関連しているそうですが、たしか過去の反原発集会で、アメリカで原発を廃止した地域で乳がんが減少したという話を聞いた記憶がありますし、先進国で乳がんが多いのは、食文化のせいではなくて、アメリカやフランスやイギリス等で数多くの原発が稼働しているからではないのでしょうか。
*1 富山保険医協会の2012.8.2 講演会 チェルノブイリからフクシマを考えるの「1.チェルノブイリの健康被害について」の箇所には、ショッキングな現実を反映した画像が掲載されていますので、どうかご注意ください。
追記:
私設原子力資料室の続・奇妙な一致(2)の内容は、内部被曝の脅威(ちくま新書,肥田 舜太郎 (著), 鎌仲 ひとみ (著))にも記されていた話だという事思い出しましたが、すっかり忘れていたので、すごくやばいですね(焦)

福島第一原発の汚染水の増加のペースは減っていませんか?

【独自】福島第一原発の処理水増加量、前年より3割減 タンク貯蔵ペースダウン 放出急ぐ根拠揺らぐ(東京新聞 2021年12月30日)について、お知らせするのが遅れてしまいましたが、こちらの記事によると、「東京電力福島第一原発でたまり続ける汚染水を浄化処理した水(処理水)の2021年分の量が、前年より約3割減ったことが本紙の調べで分かった。」そうで、「本紙試算では満杯は「23年9月初め」となり、放出を急ぐ前提の期限が変わる。」との事です。
核燃料デブリの冷却に必要な水はさらに減って行くと思いますので、東京電力が真面目にタンクを増設すれば、東電が言うところの汚染水の「タンク満杯」の時期をもっと後ろに延ばせるのではないでしょうかね。
また、東京電力は、汚染水のタンクを避難区域に設置したり、処理水中のトリチウムを分離してから海洋放出する事はテコでも出来ないという事なのでしょうかね。
尚、処理水中のトリチウムが危険な理由は、どうしてトリチウムは危険なのか(5)が一番わかりやすいと思いますので、まだ見てない方は、どうか見てやってください。
Yahoo!知恵袋[q12273942127]で質問して見ました。
追記:
福島原発の処理水発生量が1日当たり100トンを下回ったことが判明 2022年、事故後初めて(東京新聞 2023年1月14日)によると、やはり、福島第一原発の汚染水の増加のペースは順調に減っているようですね。

リンパ腺転移率が術後で77.6%でも放射能とは無関係?

Yahoo!知恵袋(原子力災害)で、【検証・県民健康調査】「甲状腺検査」意義と問題...精密に議論を(福島民友 2021年01月14日)の「甲状腺検査で見つかった甲状腺がん138症例を調べた結果、がんの病理学的分類や、遺伝子異常のパターンがチェルノブイリとは異なっていたとする内容。福島県で見つかっているがんに放射線が影響しているとは考えにくいことを、病理の形や遺伝子から裏付けた形だ。」という内容を示している方がいらっしゃったので、医学をほとんど知らない高卒の分際で、生意気にファクトチェックらしきものを行って見ました。
この内容は、J-STAGEの福島で発見された小児若年者甲状腺癌についての事についていわれていると思うのですが、この内容を見て見ると、
(1) 「その特徴は,比較的早期の例に集中してはいるものの,術後リンパ節転移78%,甲状腺被膜外浸潤39%であり通常の臨床の手術適応に準拠したものとなっている。」
(2) 「男女比は1:1.8と成人の甲状腺に比し性差が小さかった[4, 8]。」
(3) 「125例の報告例では,121例が乳頭癌,3例が低分化癌,1例がその他であった。その後県民健康調査検討委員会では甲状腺癌取扱規約に準拠して最終組織型を報告していたが,同規約の7版の改訂によって,低分化癌の2例が乳頭癌充実亜型に再分類されている。」
(4) 「福島での138例での検討は図 1[11,12]に示す様に本邦の成人例の乳頭癌症例に近い遺伝子プロファイリングを示し,チェルノブイリの放射線誘発例とは大きく異なっていることがわかる。」
(5)「術後病組織像としては乳頭癌が大半である。しかも小児に特徴といわれる濾胞型,びまん性硬化型,充実型など乳頭癌亜型はわずかであり,大半は古典型(通常型)の乳頭癌であった。」
という事が記されている事が分かりました。
(1)については、福島で発見された多数の小児甲状腺がんは悪性度が高く、即座に手術をしなければ命に関る事を示していると思いますし、私は証拠は示せないのですが、原発推進派が主張している通り、自然発生の小児甲状腺がんではこのような事にはならないのではないでしょうか。
(2)についてはチェルノブイリと全く同じパターンで、小児の場合で普通は性差はもっと大きいので、福島の小児甲状腺がんが放射線のせいである事を最も鮮やかに示しているデータのはずなのに、この事については見事にパスしているように見えます。*1
(3)の「低分化癌」というのは、ネット情報によると、未分化がんに次いで悪性度が高いがんで、甲状腺がんは高分化がん→低分化がん→未分化がんと変化して悪化して行くそうですが、2つの低分化がんの症例が低分化がんから外された学術的な理由が明記されていないようです。
(4)については、pdfファイルとしてのP5をの「図1」の円グラフを見ると、遺伝子の変異のパターンは確かに日本の「成人散発例」と近いですが、pdfファイルとしてのP2の「5 )遺伝子検査」では「現時点では本検査施行で放射線の影響があったかどうかの証明には直接には利用できない。」とされていますので、そのようなものとして理解する必要があるのではないでしょうか。
(5)については、「病理の形」が通常と異なる事を示しているのではないでしょうか。
*1 pdfファイルとしてのP4の「表2」に、ほぼ同様の年齢の男女比が比較出来るデータが記されていますが、福島県の小児甲状腺検査の結果を見やすくして見ましたの(2)も見てください。
追記:(2022/11/27)
放射性ヨウ素の恐ろしさについて(3)の「追記:」にかなり重要な内容を記しましたので、こちらも見てください。
追記2:(2023/3/25)
(4)の理由を説明出来る仮説を考えましたので、福島の甲状腺がんの遺伝子異常の特徴が分かりました!?を見てください。

子宮がん(上皮内がん含む)の激増は原発のせい?

「子宮頸がんにおける2006年問題」をご存じでしたか?で子宮頸がん(上皮内がん含む)が2006年ごろから激増している事を紹介しましたが、cancer_incidence(1975-2015).xls(2,222KB)にもとづいて子宮がん(上皮内がん含む)の20~59歳の罹患率の年次推移が分かるグラフを作成して見たところ、福島第一原発事故が発生した2011年を境にして子宮がん(上皮内がん含む)の罹患率の増加のペースが明確にダウンしている事が分かりました。
このペースダウンは、福島第一原発事故が発生した後に多くの原発を停止した事が関係しているのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
因みに、乳がん(上皮内がん含む)の激増は原発のせい?で作成したグラフはこのような傾向がみられなかったのですが、こちらのグラフは、福島第一原発事故の放射能の影響で乳がん(上皮内がん含む)が増加した事を示している可能性があるのではないでしょうか。
また、こちらのグラフを見ると、子宮がん(上皮内がん含む)の罹患率で見ても六ヶ所再処理工場でアクティブ試験を行った2006年頃を境にして激増している事が分かるのではないでしょうか。
尚、45歳以上の年齢区分で1990年頃まで罹患率の低下がみられますが、これは「白血病における2006年問題」をご存じでしたか?で説明したとおり、大気圏核実験によって放出されたトリチウムの濃度が減少したせいである可能性が高いのではないでしょうか。
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福島の小児甲状腺がんの成長速度は年約3.5mmですか?

高精度スクリーニングで「平均腫瘍径は14.2ミリ」?の続きですが、福島の小児甲状腺がんの成長速度を簡単に見積もっておきたいと思います。
福島県の第44回「県民健康調査」検討委員会(令和4年5月13日)参考資料3によると、2巡目の平成26年度~27年度の検査でがんが見つかって手術をした甲状腺がんの平均腫瘍径は「11.1±5.6 ㎜(5.3-35.6 ㎜)」で3巡目の平成28年度~29年度の検査では手術をした甲状腺がんの平均腫瘍径は「 12.9±6.4 ㎜(5.6-33.0 ㎜)」だった事が分かります。
もし「高精度スクリーニング」で5mmの甲状腺がんが見つけられるとして、非常に単純に考えると、5mm以下の甲状腺がんが2巡目では約2年で平均で11.1mmに、3巡目では約2年で平均で12.9mmになったという事だと思いますから、甲状腺がんが約2年で約11.1~12.9mm-5mm=約6.1~7.9mm成長したことになると思いますので、平均すると1年で甲状腺がんが平均的に約3~4mm成長した事になるのではないでしょうか。*1
また、手術をした甲状腺がんが2巡目の最大の35.6 ㎜の場合は、約2年で約35.6mm-5mm=約30.6mm成長したことになると思いますので、平均すると1年で甲状腺がんが約15mmも成長した事になり、この場合は悪性度がかなり高かった事を示しているのではないでしょうか。
尚、福島の甲状腺がんの発見のピークが原発事故の約3年後だったと仮定すると、もし1年で平均約3.5mmのペースで甲状腺がんが成長したと仮定すると、平成23年度~25年度の検査で発見されてある程度の期間後に手術を行った甲状腺がんの平均腫瘍径が「13.9±7.8 ㎜(5.1-45.0 ㎜)」となった事をある程度説明出来るのではないでしょうか。
また、通常のがんは一つのがん細胞から10mmの腫瘍になるまでに10~20年程度かかると言われているので、福島の甲状腺がんが原発事故の影響であると仮定すれば、もともと存在していた小さな良性腫瘍細胞の中の多数の細胞が放射線で一斉に悪性化したと考えたほうが良いのではないでしょうか。
因みに、福島の小児甲状腺がんで高い再手術割合〜民間団体公表(OurPlanet-TV 2022/03/21)という話もありますので、まだ見ていない方はどうか見てください。
*1 がんと判定されてから手術までの期間は考慮されていませんので、この値は全く持って不確かなものであるという事に注意してください。

高精度スクリーニングで「平均腫瘍径は14.2ミリ」?

これまで、私は原発推進派が高精度スクリーニングを行ったから見つけなくても良い小児甲状腺がんを見つけたというようなプロパガンダにすっかりと騙されてしまい、小児甲状腺がんの手術で摘出した腫瘍は10mm以下だろうと勝手に思い込んでいたのですが、エネ百貨の福島県での甲状腺がん検査結果の現状で「平均腫瘍径は14.2ミリで、5.1から40.5ミリまであったことが現在までの概要と結果です。」という事実をいまごろになって知って、自分自身の愚かさに驚愕して脱力しました。
因みに、14.2mmといえば大人の人差し指の太さ程度だと思いますが、こんな大きさの腫瘍が首の中にあれば、本人か周りの人が必ず気が付くと思うし、鈴木眞一教授はこの大きさや細胞診の結果を見て手術を行わなければやばいと判断したからバンバン手術を行ったのですよね。
それと、会津若松市の放射線Q&A18:甲状腺がんが見つかる人が増えているが原発事故の影響?によると、「通常だと大人になってしこりなどから発見されるものが、精度の高い超音波検査で、小さいがんを早めに見つけている」とされていますが、皆さんは「平均腫瘍径は14.2ミリで、5.1から40.5ミリ」でもそのように思われますか?
尚、福島第一原発事故の後の短期間で大きな腫瘍が出来た理由については、どうして福島は小児甲状腺がんの発見が早かったのかで記していますので、どうか見てください。

どうして福島は小児甲状腺がんの発見が早かったのか

Yahoo!知恵袋(原子力災害)で、チェルノブイリ原発事故では小児甲状腺がんの発生のピークが事故発生から約9~10年後だったが、福島第一原発事故では事故後約3年でピークが来たから、福島県における小児甲状腺がんの多発は原発事故とは関係がないという趣旨の内容をどや顔で主張している人がいましたので、この問題について改めて確認したところ、ATOMICAの図5 ベラルーシでチェルノブイリ事故による甲状腺がんと診断された症例数というグラフを見つけました。
このグラフを見ると、乳幼児期に被曝した場合は小児甲状腺がんの発生が遅くなる傾向がある事が分かりますが、この事が福島第一原発事故による小児甲状腺がんの発見のピークをチェルノブイリ原発事故の場合より早めた一因となっているのではないでしょうか。
福島県の小児甲状腺検査の結果を見やすくして見ましたの2番目のグラフを見ればわかるとおり、福島第一原発事故では、乳幼児期に被曝して小児甲状腺がんを発生した子供は非常に少ない事が分かります。
福島第一原発事故では、チェルノブイリ原発事故の教訓に踏まえて汚染された乳製品や水道水を子どもに飲ませないようにしたり、乳幼児は早めに遠隔地に避難した人が多かった事が功を奏し、甲状腺がんの発症時期が遅い傾向がある乳幼児の甲状腺がんの発症率を抑える事が出来たので、結果的に福島第一原発事故による小児甲状腺がんの発見の集団的なピークをチェルノブイリ原発事故の場合より早めたのではないでしょうか。
それと、チェルノブイリ原発事故では事故から4年後にようやく超音波診断装置が導入され、それ以前は触診が行われていたようですが、福島第一原発事故では事故後すぐに超音波診断装置で診断を行っていて、しかも超音波診断装置が進歩しているはずなので、福島第一原発事故では、上で説明した内容と診断精度の違いによって小児甲状腺がんの発見のピークがチェルノブイリ原発事故より早まったのではないでしょうか。
また、福島の小児甲状腺がんで高い再手術割合〜民間団体公表(OurPlanet-TV 2022/03/21)によると、再手術や放射線治療を複数回行うケースが増えているそうですが、これは、福島や近県で発生した小児甲状腺がんが自然発生のがんより悪性度が高い事を示していて、福島原発事故で甲状腺がんが2~3年程度で多数発見されたのは、この事も一因となっている可能性があるのではないでしょうか。
追記:
ATOMICAの図5 ベラルーシでチェルノブイリ事故による甲状腺がんと診断された症例数と福島のがんの発見の傾向が違う理由についての仮説を考えて見たところ、
(1) ウクライナの事故発生当時0-4歳の発がんが遅れた理由は、正常細胞よりも良性腫瘍細胞の方が放射線被曝によって発がん化する確率が高いと仮定すると、低年齢では甲状腺内に良性腫瘍細胞がほとんど存在しないから、ウクライナの乳幼児期集団は正常細胞ががん化する場合が多かったので、良性腫瘍細胞が放射線で一斉にがん化した場合と比べて腫瘍の成長速度が遅かったからではないか。
(2) ウクライナの事故発生当時10-14歳の集団の発がんが遅れた理由は、正常細胞も良性腫瘍細胞も加齢に伴って細胞分裂の勢いが弱まり、被曝によってがんになる確率が低下したためではないか。
(3) 福島の青年期のがんの成長が速かった理由は、国単位で調査を実施したウクライナと比べると調査範囲が県単位で狭かったため、甲状腺等価線量の平均がウクライナ国内全体の平均と比べて高かったため、福島のほうが甲状腺内の良性腫瘍細胞ががん化した確率が高く、福島のほうが平均的ながんの悪性度がウクライナよりも高かった可能性があるからではないか。
(4) 福島の乳幼児のがんの発見が少なかった理由は、本文に示した通り、被曝対策が功を奏したからではないか。
となりましたが、皆さんも考えていただいて、何か分かった事があれば教えていただけないでしょうか。
追記2:

東北4県と北海道でがん死亡率が増えているようです

※本記事のタイトルは、正しくは「東北4県と北海道でがん死亡率が全国平均と比べて増えているようです」が正解でしたが、タイトルをこれ以上長くすると、画面上で折り返されてしまうのでこのままとさせていください。
福島第一原発事故による放射能の影響を見るために、本来なら県別のがんの罹患率の年次推移が一目で分かるデータがあれば良いのですが、そのようなデータが見つからなかったので、とりあえず、がん情報サービスのpref_AllCancer_mortality(1995-2021).xlsのデータを分析して下のグラフを作成しましたので、まずはこちらのグラフを見てください。
こちらのグラフによって、山形県と宮城県を除く東北4県と北海道と全国平均のがんによる死亡率の年次推移が分かりますが、山形県と宮城県を除いたのは、山形県と宮城県のデータに特段の異常が認められなかったためです。
また、75歳未満の年齢区分の平均値を採用したのは、私から見て、このデータが放射能の影響を見るのに最も適切だと思えたからです。
福島県のデータの傾向はおおむね想定通りの傾向を示していると思いましたが、福島県以外については、福島第一原発事故以前からがんによる死亡率の増加が始まり、福島第一原発事故以降さらにがんによる死亡率が上昇したように見えます。
この傾向は青森県と北海道と秋田県と岩手県に見えるのですが、もしかすると、六ヶ所再処理工場の影響という事はあり得ないでしょうか。
因みに、核情報六ヶ所再処理工場の試験で海に放出されたトリチウムは、福島総量の2.5倍?5倍?─本格運転で毎年海洋放出するのは?によると、2006年からトリチウムの放出が開始されたようですが、六ヶ所再処理工場の影響が2010年から本格的に現れ、福島第一原発事故によってターボがかかってしまったという事はあり得ないでしょうか。
Yahoo!知恵袋[q14274404874]で質問して見ました。
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追記:(2023/1/15)
がん情報サービスの死亡統計情報のリンクが誤っていましたので訂正しました。

TBS 報道特集の「原発事故と甲状腺がん」の問題について

反応が大変遅くなってしまいましたが、TBS 報道特集の「原発事故と甲状腺がん」の問題に対する私の意見をここで記して置きたいと思います。
TBS 報道特集の「原発事故と甲状腺がん」に対して、ごうごうたる非難が浴びせられて問題になりましたが、最も非難の対象になったのは、TBS『報道特集』「原発事故と甲状腺がん」の問題点 語られなかった科学的事実【前編】(NEWSポストセブン 2022.06.26)に記されている「1986年〜1997年にウクライナで小児甲状腺がんと診断され摘出手術を受けた577例について、被ばく線量別に分類したグラフ(ウクライナのMykola D.Tronko博士が1999年に発表した論文から引用)を示し、〈51%が100mSv以下の被ばくで、10mSv未満が15%だった〉と説明した。」という部分ではないでしょうか。*1
まず、ウクライナのMykola D.Tronko博士が1999年に発表した論文の内容を否定するには、論文を調べて不備を指摘しなければならいはずですが、そのような事を行ったという話は私は聞いていませんし、2013年の国連人権委員会報告の内容は何だったのかで示した通り、ヒューマンライツ・ナウの(クローバー報告の勧告部分のみ)では、2013年の国連人権委員会報告の核心的な内容は「放射線被ばくの健康への正確な影響は、いまだ明らかになっておらず、低線量被ばくの長期的な影響も依然研究中である。」(P5)「国際放射能防護委員会(ICRP)でさえ、発癌又は遺伝的疾患の発生が、約 100mSV 以下の放射線量の増加に正比例するという科学的可能性を認めている。さらに、低線量放射線による長期被ばくの健康影響に関する疫学研究は、白血病のような非固形癌の過度の放射線リスクに閾値はないと結論付けている。固形癌に関する付加的な放射線リスクは、直線的線量反応関係により一生を通し増加し続ける。 」(P22)とされています。
因みに、「隠された初期被ばく」の見える化を~福島県に要望書を提出 福島県・国と会合 深まる謎(FoE Japan)を見ると、「避難時の混乱の中で、スクリーニングレベルは10万cpmに引き上げられたばかりか、甲状腺検査は行われず、記録もほとんど残されませんでした。」とされているので、私は政府が把握し、国連に提出した甲状腺等価線量の推定データは信頼出来ないと思っています。*2
また、長谷川健一さん死去 「原発事故被害者団体連絡会」共同代表(東京新聞 2021年10月26日)という話があるのですが、甲状腺がんは非常に死亡率が低いがんで、高度に汚染された飯館村に住んでいた長谷川さんがかなり確率が低い事象にたまたま当たってしまったという事は私は考えにくいです。
政府は、原発事故後の未公表データで食品から高濃度のヨウ素132〜福島県(OurPlanet-TV 08/25/2021)等のデータを加味し、もう一度甲状腺の被曝量の推定をやり直すべきではないでしょうか。
*1 ACS JOURNALSのThyroid carcinoma in children and adolescents in Ukraine after the Chernobyl nuclear accidentの「Table 3.」の表の「1986–1997」の列のデータを見てもらいたいのですが、Gy=Svとみなしているようです。
追記:
がんは正常な細胞が何段階かの遺伝子の変異を行った後に生まれるものだとされているのですが、甲状腺を全摘出した場合は、甲状腺内の正常細胞がどの程度遺伝子の変異を行っているのか調べて、福島第一原発事故以外の原因で甲状腺の全摘出を行った場合と比較すれば、何らかの事実が判明するのではないでしょうか。

2013年の国連人権委員会報告の内容は何だったのか

2013年の国連人権委員会報告というのは、ヒューマンライツ・ナウの福島・グローバー勧告関連に詳しく示されている報告なのですが、Yahoo!知恵袋(原子力災害)で回答していて、私自身がこの報告の内容をよく分かっていなかったことに今頃気が付いていたので、また、英語圏では「神は細部に宿る」という格言もあるので、福島・グローバー勧告関連の内容をよく見て見ました。
ヒューマンライツ・ナウの(クローバー報告の勧告部分のみ)を見ると2013年の国連人権委員会報告の核心的な内容は「放射線被ばくの健康への正確な影響は、いまだ明らかになっておらず、低線量被ばくの長期的な影響も依然研究中である。」(P5)「国際放射能防護委員会(ICRP)でさえ、発癌又は遺伝的疾患の発生が、約 100mSV 以下の放射線量の増加に正比例するという科学的可能性を認めている。さらに、低線量放射線による長期被ばくの健康影響に関する疫学研究は、白血病のような非固形癌の過度の放射線リスクに閾値はないと結論付けている。固形癌に関する付加的な放射線リスクは、直線的線量反応関係により一生を通し増加し続ける。 」(P22)から「国連特別報告者は、日本政府に対して、できるだけ早く年間放射線量を 1mSv 未満に減少するということを目標とした、長期的な除染政策を緊急に策定することを要請する。」(P26)という事だと思います。
そして、ヒューマンライツ・ナウのグローバー報告に対する日本政府の見解・コメントを見ると、クローバー報告の核心部分を見事に無視して、年間許容放射線量を20mSvにする事を正当化しているのです。
また、(クローバー報告の勧告部分のみ)の中で示されている、「 日本の原発事故は、避難者及び居住者の、健康に対する権利に一様に悪影響を及ぼし、特に、妊婦、高齢者、及び子どもの身体的・精神的健康に影響を与えている。」(P5)の中に含まれていると思うのですが、放射能の感受性は年齢が低いほど大きいという事実や肉体や精神の健康状態を無視して、年齢や条件にかかわらず一律に年間許容放射線量を20mSvにする事を正当化しているのです。*1
それと、グローバー報告に対する日本政府の見解・コメントの「文部科学省による月間降下量測定によると、 放射性ストロンチウム( Sr-90)の濃度は、放射性セシウムの 1/19,000~1/600 であった[1] 。そのため、住民を対象とした健康管理で、尿中の放射性ストロンチウム(  Sr-90)の濃度を測定する強い動機は見当たらない。この科学的根拠により、福島県民の健康管理においては、ホールボディカウンター(WBC)による内部被ばく量の検査を行っている。」(P11)の部分についてですが、私は文科省の公表結果は信頼していませんが、日本政府は放射性ストロンチウムの生体濃縮の影響を一切無視しているという事ではないでしょうか。*2
因みに、「日本政府は、既に  SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の結果を公表した。 」(P4)とされていますが、こちらの件については、何故SPEEDIはスピーディーに生かされなかったのか何故SPEEDIはスピーディーに生かされなかったのか(2)を見てください。
*1 てくてくブログの食卓の放射能汚染から身を守るにはの「4.小さい子のいのちを守ること」を見てもらいたいのですが、文科省の放射線副読本(令和3年改訂(令和4年一部修正))(PDF版)では、(クローバー報告の勧告部分のみ)の「子どもは被ばくに対して特に脆弱であるという事実について、学校教材等で正確な情報を提供すること。 」(P36)も2013年の国連人権委員会報告の核心的な内容も全く無視されているようです。
追記:
福島第一原発事故とチェルノブイリ原発事故の避難基準を比較すると、日本政府の人権感覚の酷さが分かると思いますので、みんなのデータサイトのチェルノブイリ法のゾーン区分と日本の比較表を見てください。

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