2023/05/25
どうしてトリチウムは危険なのか(7)
原発推進派は、トリチウムは自然界でも大量に生成されているが、自然界で生成されたトリチウムには有害性は認められないから、トリチウムは危険ではないという事を言って処理水中に大量のトリチウムが含まれている事を正当化していますが、どうしてトリチウムは危険なのか(6)の続きとして、この事について反論しておきたいと思います。
確かに、京都女子大学の自然環境中のトリチウム生成のシミュレーションとその評価によると、宇宙線によるトリチウムの年間生産量は「(5.7~7.2)×10^16[Bq/year]」で環境省の第2章 放射線による被ばく 2.5 身の回りの放射線によると「原子力施設からの年間放出量 2×10^16Bq」とされていて、原子力施設からの年間放出量は宇宙線による年間生産量の半分以下なので、この事を見ると処理水中のトリチウムは大して問題はないと思う人がいるかもしれません。
ただし、そのように考える方は、原子力施設や福島で放出されるトリチウムは非常に狭い範囲に大量に放出されるという事と、岩倉政城さんの事故原発汚染水から高濃度有機結合型トリチウムが生成 海洋放出で魚介類に濃縮が 国と東電は無機トリチウムだから危険は無視できると言い逃れてきた(2020/6/14)を見ればわかる通り、処理水が放出される海域の海洋生物内でトリチウムが生体濃縮される事と、生体濃縮された海洋生物を食べる人間は、海洋生物と同じかそれ以上にトリチウムが濃縮される可能性がある事を全く考慮していないのではないでしょうか。
また、東電はトリチウムが1500Bq/L以下になるようにして処理水を海洋放出するそうですが、通常の海水は茨木県のALPS処理水の海洋放出に係る茨城県沖におけるトリチウム濃度モニタリング結果を見ると平均で0.1Bq/L以下なので、1500Bq/Lというのは自然環境の1万倍以上になります。
私は、処理水の排出口付近のトリチウムが通常の海水の1万倍以上の環境で育った海洋生物を摂取しても安全だとはとても思えないのですが、皆さんはいかがでしょうか。
尚、牡蛎で福島第一原発の処理水を処理する方法がある?をまだ見ていない人は、どうか見てください。
追記: