平坦な時空の回転系の計量について(2)

平坦な時空の回転系の計量についてで紹介した、ds^2=-(1-(rω/c)^2)(cdt)^2+2r^2ωdφdt+dr^2+(rdφ)^2は、Born_rigidity(Wikipedia)によると、ジョルジュ・ルメートル(Wikipedia)が提唱したもののようですが、暇なので、この計量で回転系の時間の進み方を計算するといかにグダグダになるのかという事を念のため示しておきたいと思います。
単純な回転運動を行っている物体の系はdr=0なので、上の計量を西海岸方式に変換するとds^2=(1-(rω/c)^2)(cdt)^2-2r^2ωdφdt-r^2dφ^2と出来ますが、ds,dtに「'」を付けてds',dt'とすると、ds'^2=(1-(rω/c)^2)(cdt')^2-2r^2ωdφdt'-r^2dφ^2となります。
そして、dx=dy=dz=0の場合のミンコフスキー計量はds^2=(cdt)^2ですが、両者の計量を等号で結ぶと
(1-(rω/c)^2)(cdt')^2-2r^2ωdφdt'-(rdφ)^2=(cdt)^2
となり、左辺等辺を(cdt)^2で割ると
(1-(rω/c)^2)(dt'/dt)^2-2r^2ωdφdt'/(cdt)^2-(rdφ/cdt)^2=1
となり、2r^2ωdφdt'/(cdt)^2の分母と分子にωを乗じると
(1-(rω/c)^2)(dt'/dt)^2-2(rω)^2dφdt'/(ω(cdt)^2)-(rdφ/cdt)^2=1
となり、dφ/dt=ωとすると
(1-(rω/c)^2)(dt'/dt)^2-2(rω)^2dφdt'/((dφ/dt)(cdt)^2)-(rω/c)^2=1
(1-(rω/c)^2)(dt'/dt)^2-2(rω)^2dt'/(c^2dt)-(rω/c)^2=1
(1-(rω/c)^2)(dt'/dt)^2-2(rω/c)^2(dt'/dt)-(rω/c)^2=1
となります。
そして、dt'/dt=χ,η=(rω/c)^2と置くと
(1-η)χ^2-2ηχ-η=1
(1-η)χ^2-2ηχ-(1+η)=0
となり、この二次方程式を解くと
χ=(2η±√(4η^2+4(1-η)(1+η)))/2(1-η)
χ=(2η±2√(η^2+(1-η)(1+η)))/2(1-η)
χ=(η±√(η^2+1-η^2))/(1-η)
χ=(η±1)/(1-η)
χ=(1+η)/(1-η),-1
dt'/dt=(1+(rω/c)^2)/(1-(rω/c)^2),-1
というぐだぐだな結果になります。
私は、上で得られた解は平坦な時空の回転系の計量についてで説明した通り非物理的な解であると思っていますが、文句はないですよね(笑)

平坦な時空の回転系の計量について

平坦な時空の回転系の計量については、長い間、T_NAKAの(新)阿房ブログの回転系について(2)や他の方の物理系ブログ等で示されている、ds^2=-(1-(rω/c)^2)(cdt)^2+2ωr^2dφdt+dr^2+(rdφ)^2だと信じて来たのですが、この計量と静止系の計量を等号で結んで回転系の時間の進み方を求めようとしてもぐだぐだになってしまうので、こちらの計量の導出過程を調べて本気で考えて見たところ、こちらの計量は、非相対論的な回転系から相対論的な慣性系を見た場合の見え方を反映しているに過ぎず、相対論と非相対論が混合した非物理的な代物に過ぎないのではないかと思えて来ました。
そこで私が考えた計量は、回転系の各瞬間だけを考えて導いたds^2=-(cdt)^2+dr^2+(rdφ)^2という単純なものですが、g00を1とした理由は、双子のパラドックスの計算についてで求めた等加速系の計量のg00がe^(|a'x'|/c^2)であり、回転系は中心方向に加速する等加速系とみなして回転系の各瞬間の加速方向とX軸の方向を合わせて各瞬間を考えるとdx'=0なので、恒等的にx'=0とみなす事が出来ると思うので、g00はe^0=1で良いのではないかと思えたためです。*1
回転系の計量にこちらの計量を採用してdr=0とすれば、各瞬間はミンコフスキー計量と同等なので各瞬間においてローレンツ変換の結果を積分すると回転系の円周の長さは2γπrとなってエーレンフェストのパラドックスについて(3)で説明している通りになるし、よく見る相対論の誤解の「補足:円運動の場合」の結論とも概ね一致しますので、平坦な時空の回転系の計量は難しく考えずに、西海岸方式でds^2=(cdt)^2-dr^2-(rdφ)^2という事にしませんか(笑)
*1 ds^2=(cdt)^2-dr^2-(rdφ)^2は、dr=0としてrdφ=dxとみなせばds^2=(cdt)^2-dx^2となるので、ミンコフスキー空間と同等になります。
追記:
追記2:
こちらの内容とChem-Stationの【金はなぜ金色なの?】 相対論効果 Relativistic Effectsが正しければ、特殊相対性理論ではm'=γmとなって遠心力もF=γmv^2/rとなるのではないでしょうか。

ガレージのパラドックスについて(5)

ブログのネタが無いので、物事を厳密に考える事が出来ず、教科書の内容を鵜呑みにして満足している方全員から、小島よしお流に「そんなの絶対に関係ねぇ!!」と間違いなく一蹴されそうな内容をドヤ顔で記してお茶を濁したいと思います(笑)
私は、ガレージのパラドックスについて(4)の「追記」で、「ガレージと車のどちらが加速したかという事によって話が変わって来る」断言しましたが、ガレージと車が全く別の慣性系で作られて時空図上で交差した場合にどうなるのかという事の答えを見出す事を未だに出来ずにいました。*1
そこで、「ガレージと車が全く別の慣性系で作られて時空図上で交差した場合」というものが本当に存在するのかと考えて見たところ、ビッグバンで開闢した宇宙は、宇宙の絶対的な中心は存在しいけれど、絶対的な慣性系が存在するはずなので、時空図上で交差する場合は、ガレージの系か車の系かのどちらか、あるいはその両方の系が宇宙が開闢して以降加速しなければ時空図上で交差する事はありえないと考えれば、私の理論の破綻を回避できる事が分かり、めでたしめでたしとなる事が分かりました。*2 *3
尚、ネットを見ていると、私のように厳密に考える事が出来なくて、ガレージの系と車の系の対称性を全く気にせずにドヤ顔で説明していたり、ガレージのパラドックスの説明を避けて通っている方ばかりのように思えてなりませんが、福島第一原発事故の放射能を浴びて少しだけ目が覚めた小市民根性丸出しの俗物の妄想でしょうか(笑)
*1「ガレージと車のどちらが加速したかという事によって話が変わって来る」という主張が特殊相対性理論を破っていると思われる方がいらっしゃると思いますが、加速系については特殊相対性理論がそのまま通用しないという常識(?)を思い出してください(笑)
*2 ガレージと車の両方が同様な加速を行った場合の時空図をガレージのパラドックスについて(4)を参考にして作って見ればわかると思いますが、この場合は、お互いから見て同様に収縮するように見えてガレージの扉を閉める事は出来るし、加速していない系から見てガレージと車は同じ長さに見えるので、パラドックスは一切起きません。
*3 宇宙に絶対的な慣性系が存在するかどうかは、銀河系の運動方向と宇宙の背景放射の状態を詳しく比較すれば分かるのではないでしょうか。
追記:(2023/3/25)
私の考えでは加速した系から静止系を見た場合は時空図上ではローレンツ収縮は起きない事になるので、がレージのパラドックスを解決するために結果的に新たなパラドックスを生み出してしまったような気もしますが、私にはこの問題を解決する知力はないと思いますので、私よりも頭の良い人にお任せしました(笑)

ボルン剛体について

私はミーハーなので、ボルン剛体のオリジナルの論議についてはよく分かっていないのですが、ボルン剛体を空間スケールが変化しても固有長や形態が変わらない剛体というように定義し、ボルン剛体の円盤を高速回転させたらどうなるのかという事について記しておきたいと思います。*1
私は、エーレンフェストのパラドックスについて(3)で、回転系の円周方向の空間スケールは2πγrに伸長するという事を記していましたが、ボルン剛体の円盤が円周方向の空間スケールがγ倍になった回転系に移行した場合にどうなるのかという事が問題になります。
もしこのような場合に円盤が木っ端みじんになれば何の問題ないですが、木っ端みじんにならなかったらどうなるのかという事を考えた場合、あからまな矛盾が生じる事が分かります。
しかしながら私は、ボルン剛体の円盤はどうやっても高速回転出来ないので矛盾は起きないと考えました。
どうしてそのように考えたのかというと、遠心力や円周方向の空間スケールの伸長に逆らって円盤の形態を維持しようとすれば、円盤を構成している原子がバラバラにならないようにするために、原子の間に膨大な引力のエネルギーが必要となり、このエネルギーによってエネルギーと質量の等価性に基づいて円盤の重量が重くなるので、円盤の回転を加速出来なくなると考えたからです。*2
尚、円盤が円周方向の空間スケールの伸長に従って2γπr伸長した場合は、遠心力による時間の遅れによって円周の長さは2πrに見える事になるので、何もパラドックスは発生しない事になります。
*1 空間スケールと固有長の関係をご存じない方は、ローレンツ収縮についてを見てください。
*2 この内容が正しければ、相対性理論は物質が極微な粒子と粒子間の引力によって成立している事を要請している事になるかもしれません。

ローレンツ収縮について(3)

ローレンツ収縮について、ローレンツ収縮についてで観測対象が加速した場合について説明を行い、ローレンツ収縮について(2)で光行差を用いて説明を行いましたが、もっと単刀直入に説明出来る方法を思いついたので、説明を行わせていただきます。
双子のパラドックスの計算について(4)の初めの部分を見ていただくと分かりやすいと思いますが、例えば観測者の慣性系の固有時とx座標上の位置をt,x,観測対象の慣性系の固有時とx座標上の位置をt’,x'とし、両者の系が相対速度をvでx軸方向に運動し、γ=1/√(1-(v/c)^2)とした場合、ローレンツ変換で計算するとdt'/dt=1/γとなるので、観測者の慣性系から見た観測対象の慣性系の固有時の進み方は、相対速度vが増加すればするほど遅くなります。
そして、相対速度vは両方の系で共通ですから、vdt=dx,vdt'=dx'と見なすことが出来るので、dx'/dx=vdt'/vdt=1/γとなるため、例えば観測者の慣性系から観測対象の慣性系のx方向の長さを見ると、1/γ倍に短縮して見える事になります。
尚、ネットの記事を見ると、x2'-x1'=L'を観測対象の慣性系の長さ,x2-x1=Lを観測者の慣性系の長さとし、x1,x2をローレンツ変換してL'を求めるとL'=γL,L=L'/γとなるからローレンツ収縮するというような説明が散見されますが、これは、観測対象の慣性系の長さ=観測者の慣性系の長さ*γ,観測者の慣性系の長さ=観測対象の慣性系の長さ/γという意味ですから、観測対象の慣性系の長さは収縮せずに伸長する事になり、この伸長の意味するところは、ローレンツ収縮についてで説明した空間スケールの伸長を意味する事になり、ローレンツ収縮に対して真逆の説明になっていると思いますので、どうかご注意ください。*1
ところで、相対性論を勉強する気がある方は、こちらの説明とローレンツ収縮についてローレンツ収縮について(2)での説明との整合性が気になったと思いますが、この事については、相対性理論を勉強する気がある方のための演習問題とします(笑)
*1 ローレンツ変換による空間スケールの伸長をローレンツ伸長とすれば、光のドップラー効果の公式についてを見るとローレンツ伸長を使って計算している事が分かると思いますが、f'=f/(γ(1-(v/c)cosθ))であるため、波長をλとしてθをπ/2にするとλ'=γλとなり、λ'は相対速度が早ければ早いほど波長が伸びるので、空間スケールに対応して波長が変化する光の場合は、ローレンツ収縮ではなくてローレンツ伸長が起きる事が分かるのではないでしょうか。

電磁波がE=pcになる理由について

E=mc^2についてで「m=0とするとE=pc」となる事を説明しましたが、電磁気学でも電磁波がE=pcになる事が導けるという話を昔見た記憶があり、ずっと気になっていたので一生懸命ネットを探しても見つからなかったのでポインティングベクトルについてを記してお茶を濁していました。
しかしながら、株式会社フォトンの7. マックスウェルの応力8. 電磁場のエネルギーと運動量で電磁波がE=pcとなる事がきちんと説明されていると思われる事が分かり、積年の疑問がやっと解決したような気がしました。
私のように電磁気学について正規の教育を受けていない人間には結構ハードな内容ですが、しょせん古典論なので、なんでもかんでも分かったつもりになって読み進めていくと、分かった気になれるのではないでしょうか(笑)
因みに、7. マックスウェルの応力マックスウェルの応力を電場と磁場の時間変化に応じて発生する力と応力テンソルに分解するところがかなりややこしくて難しいですが、この部分をそんなもんだと割り切って結果を受け入れ、電場と磁場の時間変化に応じて発生する力を電磁波が発生させる力であると考えてマックスウェルの応力テンソルを無視し、F=dp/dt,c=1/√(ε0μ0),B=μ0Hである事を思い出してp=ε0E×B=(E×H)/c^2である事を確認し、後はガウスの定理を思い出して8. 電磁場のエネルギーと運動量に記されている真っ当な説明をよく読み込んで理解出来れば、E=(E×H)/cとなる事が理解出来ると思いますので、E/p=c,E=pcとなる事が理解出来た気になれるのではないでしょうか。
ついでに言うと、E=pc=hνなので光子の運動量はp=hν/c=h/λとなります。
尚、光速度不変性についてで電磁気学を使うと光速度不変性が自然に説明出来ますし、逆に特殊相対性理論からローレンツ力も出て来る事がネットで説明されていますが、これらの事を考えれば、電磁気学で電磁波がE=pcになる事も説明出来て当然なのでしょうね。

ポインティングベクトルについて

ポインティングベクトル(S=E×H)は電磁のエネルギーの流れを示すと言われていて、ポインティングベクトルはマックスウェルの電磁方程式を変形して得られる訳ですが、この事については、物理メモポインティングベクトルの意味と絶対値が分かりやすいです。
マックスウェルの電磁方程式を変形すると、
∫[V](∇・ポインティングベクトル)dV=-∫[V]([移動したジュール熱のエネルギー密度]+∂[電場と磁場のエネルギー]/∂t)dV
という結論が出て来ます。
そして、∂[電場と磁場のエネルギー]/∂tについては、例えば光子を古典論的に考えた場合、光子の発生点から到達点までの経路を全て含んだ空間をVにすれば、エネルギー保存の法則が適用されるので∂[電場と磁場のエネルギー]/∂t=0と見なすことが出来ますので、
∫[V](∇・[ポインティングベクトル])dV=-∫[V][移動したジュール熱のエネルギー密度]dV
となり、ジュール熱のエネルギーが光子の発生点で光子のエネルギーに転化して光子の到達点にエネルギーを運ぶというように解釈出来るのではないでしょうか。
また、符号を反転すると、
-∫[V](∇・[ポインティングベクトル])dV=∫[V][移動したジュール熱のエネルギー密度]dV
となり、光子の発生点から光子がジュール熱のエネルギーを光子が持ち去って、光子の到達点にエネルギーを運ぶというように解釈出来るのではないでしょうか。
追記:
上記内容は、光子を古典論的な実体と仮定した場合にのみ正しい可能性があるという事に今頃気が付きましたが、古典論の範囲内では正しいと思いますので、この記事はこのまま残しておく事とします。

双子のパラドックスの計算について(4)

暇なので、世間様に対してさらに迷惑をかけてしまう事になると思いますが、双子のパラドックスのパラドックスの内実をはっきりするためにも、双子のパラドックスの計算について(3)の中で記した「直線等速運動しか適用出来ないはずのローレンツ変換に基づいた計算」という、私から見て誤っていると思える計算を真面目に行って見たいと思います。
相対性理論におけるローレンツ変換と互換性があるミンコフスキー計量を利用して、dy=dz=0としてロケットの系の計量をds'^2=(cdt')^2-dx'^2とし、静止系の計量をds^2=(cdt)^2とする事が出来ると思いますが、両方の計量を等号で結ぶと
(cdt)^2=(cdt')^2-dx'^2
(cdt/cdt')^2=1-(dx'/cdt')^2となりますが、dx'/dt'=v'とすると
(dt/dt')^2=1-(v'/c)^2
dt/dt'=√(1-(v'/c)^2)
dt=√(1-(v'/c)^2)dt'となるので、t=∫[0→t']√(1-(v'(t')/c)^2)dt'となります。
そして、特殊相対性理論における等加速運動についてで得たu'(t')=ctanh(a't'/c+arctanh(u'(0)/c))を利用すると、t=∫[0→t']√(1-(v'(t')/c)^2)dt'=∫[0→t']√(1-(tanh(a't'/c+arctanh(u'(0)/c)))^2)dt'となり、c=a'=1,arctanh(u'(0)/c)=0とすると
t=∫[0→t']√(1-tanh^2(t'))dt'
t=∫[0→t']√(1/cosh^2(t'))dt'
t=∫[0→t'](1/cosh(t'))dt'
t=2arctan(e^t')-2arctan(e^0)
t=2arctan(e^t')-π/2となります。
この関数をグラフ化したらどうなるのかというのは下の図を見てもらいたいのですが、私の計算が正しければ、dt/dt'=√(1-(v'/c)^2)≦1なので、ロケットの系から静止系の固有時を見ると静止系の固有時は必ず遅れる事になります。
しかしながら、加速系の時間の遅れを無視すればお互いの立場は対等になってしまうため、静止系からロケットの系を見ても固有時は同様に遅れてしまい、特殊相対性理論に基づいた計算では、ロケットが元の場所に戻って来た時に双子同士で時間の進み方についての見解が食い違ってしまう事になりますので、この事が特殊相対性理論では解消出来ない双子のパラドックスの核心という事になります。双子のパラドックスの定量的計算について(4)
追記:
双子のパラドックス(Wikipedia)を見て見たところ、静止系から見たロケット系の固有時関数はarcsinhなんちゃらになっているので、双子のパラドックスの計算について(3)で指摘した通り、等加速系から見た静止系の固有時関数はsinhなんちゃらになって私が指摘している通りの内容になっていて、「加速度を扱うのだから特殊相対性理論では扱えないとするのは誤りである」という核心的な部分が「要出典」とされていますが、一体どちらが正しいのでしょうかね(笑)

双子のパラドックスの計算について(3)

双子のパラドックスの計算について(2)の続きですが、双子のパラドックスの計算の精度を上げるために記した特殊相対性理論における等加速運動について(2)の「追記:」にて、「ネットを見ると、私の結論と異なる結論を出していると思える記事が存在する事が分かりました。
そして、このような記事は、直線等速運動しか適用出来ないはずのローレンツ変換に基づいた計算を行っているせいではないかと思っています。」と記させていただきました。
この様な事をここで説明すると、高卒の分際の私がともすると少なからぬ方に対して誤りを指摘を行う事になってしまい、私が正しくても間違えていても、世間様に大変な迷惑をかけてしまう事になると思ったので躊躇していましたが、私は失うものは命とゴースト(魂)ぐらいしかない暇人だし、この事によって私も含めてだれも命までは取られる事はないと思いますので、思い切ってこの事をこの場できちんと説明して見たいと思います(笑) *1
私が誤りだと思っているのは、等加速系の移動距離関数をcoshなんちゃらとし、等加速系から見た静止系の固有時関数をsinhなんちゃらとしているという論議です。
私の等加速系の移動距離関数がどのようになったのかという事は、特殊相対性理論における等加速運動について(2)を見てもらいたいのですが、等加速系から見た静止系の固有時関数は双子のパラドックスの計算についてで示したような定積分の形式になっています。
尚、私が間違っていた場合は、私の浅学さに免じてどうかご勘弁ください(笑)
*1「ゴースト(魂)」の意味が分からない方は、攻殻機動隊(Wikipedia)の中の「ゴースト」の解説を見て理解してください(笑)
追記:

テレル回転について(3)

テレル回転について(2)を記して、テレル回転についてのテレル回転の近似公式を導出するための式を、答えが合うように適当に捏造しているのではないかと思われると悪いと思ったので、放射能でボロボロになった脳を酷使してもう少し分かり易い説明図を作成して見ましたので、どうかよく見てやってください。
terrelli4.jpg
追記:
この図を見ると、ローレンツ収縮は、光行差によって起きる現象であるという事がよく分かると思いますが、この件については、ローレンツ収縮について(2)を見てやってください(笑)
追記2:
光行差の公式はθ'=arctan(sinθ/γ(cosθ+v/c))ですが、これは観測対象がxの値を減ずる方向に運動する場合の公式なので、上記のように観測対象がxの値を増やす方向に運動する場合は、θ'=arctan(sinθ/γ(cosθ-v/c))となります。
∠AB'Bをθとするとcosθ=(d(v/c)γ)/(c(d/c)γ)=v/cとなり、これを上記に代入すると、θ'=arctan(sinθ/γ(v/c-v/c))=arctan(sinθ/(γ*0))=arctan(√(1-cos^2θ)/(γ*0))=
arctan(√(1-(v/c)^2)/γ*0)=arctan(1/γ^2*0)=arctan(1/0)=π/2となるため、この上の図の光は、観測対象の立場で見ると進行方向に対して反対方向に斜めに離れて行きますが、観測者の立場で見ると観測者の真上から近づいて来る事になります。
arctan(1/0)=π/2というのはかなりいい加減な表現ですが、空気を読んでいただけると助かります。
それと、証明は省略しますが、π/2=arctan(sinθ/γ(cosθ-v/c))の場合、∠B'AB=π/2-θとなる事に注意してください。

テレル回転について(2)

浅学なので物理の「ネタ」が尽きて来たのですが、テレル回転についての結論のθ=arctan(γ(v/c))というテレル回転の近似公式が納得出来ない方がいらっしゃると悪いので、いつものように老爺心を発揮して説明図を作成してお茶を濁す事にしました(笑)
尚、テレル回転自体はあくまでも見かけ上の話であり、θ=arctan(γ(v/c))というのも近似公式ですから本気で考えないでもらいたいのですが、γ(v/c)=(v/c)/√(1-(v/c)^2)であり、v/c=sinθと置けばsinθ/√(1-sin^2θ)=sinθ/cosθとなるので、それなりに辻褄は合っている事になります。
terrela.jpg
追記:
テレル回転について(3)も見てください。

ガレージのパラドックスについて(4)

ガレージのパラドックスについて(3)では、ガレージのパラドックスを空間スケールで考えるために、車やガレージの固有長が空間スケールに従ってγ倍伸びるというアブノーマルな設定で時空図を作って説明しましたが、車やガレージの固有長が変化しないノーマルな設定の時空図を作って見ました。
ローレンツ収縮についてを理解しないとこの図の意味は決して理解出来ないのですが、下の図を見ると、
(1) 車が加速した場合、ガレージから見ると車はローレンツ収縮するので、入口と出口の扉を余裕のよっちゃんで同時に閉じる事が出来る。*1
(2) 車が加速した場合、 車から見るとローレンツ収縮は起きず、自分自身はガレージの長さと等しい。*2
(3) ガレージが加速した場合、車から見るとガレージはローレンツ収縮するので、ガレージは自分自身の長さよりも短く見える。
(4) ガレージが加速した場合、ガレージから見るとローレンツ収縮は起きず、自分自身は車の長と等しいので、入口と出口の扉は一瞬だけ同時に閉じる事が出来る。
という事が分かると思います。
結局、ガレージのパラドックスは、どちらが加速するかによって継続時間は変わるけれど、両方の立場から見てともにガレージの扉を同時に閉じる事が可能なので、全く矛盾はないという当たり前の結論となります。
*1 下の時空図上のB0’のx座標は、(t’,x’)=(Lv/c^2,L/γ)のローレンツ逆変換により、(t,x)=(0,L/γ)と求まります。
*2 下の時空図上でA-A'=B0-B0'=B1-B1'となる事は、ローレンツ変換によって分かります。
pgaraged20.jpg
追記:
ガレージと車のどちらが加速したかという事によって話が変わって来るのは誤りではないかと思われる方がいらっしゃるかもしれないですが、加速している系と加速していない系で話が変わるのは不思議ではないと思って割り切っていただくか、こちらの考え方のどこが間違っているのか、私のガレージのパラドックスに対する考え方の核心である2台のロケットのパラドックスについてを見て、具体的に教えていただけると助かります。
追記2:
ローレンツ収縮について2台のロケットのパラドックスについて(3)の2台のロケットを丈夫なロープで繋げば2台のロケットの間隔は縮んで見える事が分かるので、一般相対性理論でガレージのパラドックスを考えた場合でも、(1)~(4)の結論はそのまま適用される事が分かるのではないでしょうか。
追記3:

特殊相対性理論における等加速運動について(2)

双子のパラドックスの計算について(2)のx'(t')の精度を上げるために、特殊相対性理論における等加速運動についてで得た、u'(t')=ctanh(a't'/c+arctanh(u'(0)/c))という等加速系の相対速度関数の積分の解析解を計算して見たいと思います。
ctanh(a't'/c+arctanh(u'(0)/c))の不定積分∫ctanh(a't'/c+arctanh(u'(0)/c))dt'は、
c∫tanh(a't'/c+arctanh(u'(0)/c))dt'と変形出来ますが、T'(t')=a't'/c+arctanh(u'(0)/c)と置くと、c∫tanh(T'(t'))(dt'/dT’(t'))dT’(t'),dt'/dT'(t')=c/a'なので、
c∫tanh(T'(t'))(c/a')dT'(t')=(c^2/a')∫tanh(T'(t'))dT'(t')となります。
そして、∫tanh(x)dx=log(2cosh(x))+Cなので、(c^2/a')∫tanh(T'(t'))dT'(t')=(c^2/a')log(2cosh(T'(t')))+C,U'(t')=(c^2/a')log(2cosh(T(t')))+Cとなります。
また、U'(0)=(c^2/a')log(2cosh(T'(0)))+C,C=-(c^2/a')log(2cosh(T'(0)))+U'(0)となり、等加速系の移動距離関数はU'(t')=(c^2/a')log(cosh(a't'/c+arctanh(u'(0)/c))/cosh(arctanh(u'(0)/c)))+U'(0)となりますが、log(cosh(x))の形は下の通りです。logcosh5.jpg
追記:
ネットを見ると、私の結論と異なる結論を出していると思える記事が存在する事が分かりましたが、そのような記事は、等速運動しか適用出来ないはずのローレンツ変換を利用して計算を行っているせいではないかと思っています。

双子のパラドックスの計算について(2)

双子のパラドックスの計算についてで求めたt=∫[0→t']√(e^(2|a'x'(t')|/c^2)-(v'(t')/c)^2)dt'を使って、双子の間には実際にどの程度時間がズレるのか、LibreOfficeのCalcで軽く計算して下のグラフを作成して見ました(笑) *1
計算を簡単にするためにc=1,t1'=4,t2'=8,a'(t'=0~2,4~6)=0.25,a'(t'=2~4,6~8)=-0.25とし、v'(t')は特殊相対性理論における等加速運動についてで求めたu'(t')=ctanh(a't'/c+arctanh(u'(0)/c))を利用し、x'(t')は特殊相対性理論における等加速運動について(2)で求めたU'(t')=(c^2/a')log(cosh(a't'/c+arctanh(u'(0)/c))/cosh(arctanh(u'(0)/c)))+U'(0)を利用しました。
そして、t'のサンプリング間隔=0.1として、dt=∫[0→t']√(e^(2|a'x'(t')|/c^2)-(v'(t')/c)^2)dt'を計算して適当に足し合わせて数値積分を行ったので、誤差はそれなりにあるかもしれません。
私の計算が正しければ、例えば時間の単位を年にすると、地球からロケットで等加減速して8年かけて約0.96光年弱離れたX地点まで行って帰って来る場合、地球上の固有時は約8.8年経過する事になります。*2
因みにこの場合は、ロケットは2年後と6年後に光速の約46%まで加速する事になります。
*1 t=地球上の固有時,t'=ロケットの系の固有時で、「'」がついている変数や関数は、ロケットの系の物理量を表す変数と関数です。
*2 X地点ではロケットは地球上から見て静止しますのでx'=xとなります。twins12.jpg
追記:
特殊相対性理論における等加速運動について(2)でu'(t’)の積分の解析解を求めてx'(t')に利用したグラフに差し替え、本文も訂正しました。

双子のパラドックスの計算について

双子のパラドックス(Wikipedia)についてネットを調べても、結局双子の間でどれだけの時間差が出るのかという事をスッキリと説明していると思える記事が見当たらなかったので、正しいという保証はありませんが、双子の間の時間差を計算する方法を以下に記したいと思います。
x’=0で等加減速を開始した系の計量はds'^2=(cdt'/[等加減速による時間の遅れ])^2-dx'^2
のはずですが、山形大学のよく見る相対論の誤解の空気をよく読むと
[等加減速による時間の遅れ]=lim[n→∞]{(1/(1+|a'x'|/nc^2))^n}=1/e^(|a'x'|/c^2)
と思えるので、目的とする計量を
ds'^2=(cdt'/(1/e^(|a'x'|/c^2)))^2-dx'^2=e^(2|a'x'|/c^2)cdt'^2-dx'^2
と仮定し、静止系の計量をdy=dz=0としてds^2=(cdt)^2として両辺の計量を等号で結ぶと
(cdt)^2=e^(2|a'x'|/c^2)cdt'^2-dx'^2となり、両辺をcdt'^2で割ると
(dt/dt')^2=e^(2|a'x'|/c^2)-(dx'/dt')^2/c^2となりますが、dx'/dt'=v'とすると
(dt/dt')^2=e^(2|a'x'|/c^2)-(v'/c)^2
dt/dt'=√(e^(2|a'x'|/c^2)-(v'/c)^2)
dt=√(e^(2|a'x'|/c^2)-(v'/c)^2)dt'
t=∫[0→t']√(e^(2|a'x'|/c^2)-(v'/c)^2)dt'となり、x'=x'(t'),v'=v'(t')とすれば
t=∫[0→t']√(e^(2|a'x'(t')|/c^2)-(v'(t')/c)^2)dt'となります。*1 *2
そして、この定積分をt=t(t')とし、双子の一方は原点に留まり続け、双子のもう一方が乗ったロケットをt0=t0'=0で原点で発射して等加減速してロケットの系の固有時t1'にX地点に到達し、方向を反転して再度等加減速してロケットの系の固有時t2'に原点に戻って来る場合、t1',t2'を静止系の固有間に変換すると、t1=t(t1')>t1',t2=t(t2')>t2'となるはずです。
*1 [等加減速による時間の遅れ]=lim[n→∞]{(1/(1+|a'x'|/nc^2))^n}とした理由は、よく見る相対論の誤解のP4の「一様でない重力の場合」を読むと、等加減速系の場合はx'を微小区間に分割して微小区間の時間の遅れを1/(1+|a'⊿x'|/c^2)とし、この時間の遅れを累乗して集積して等加減速系の計量を構成するのが適切だと考えたからです。
*2 |x'|と|x'(t')|は等加減速運動を開始した地点からのx座標上の距離を表しています。
追記:
追記2:
等加減速系の計量のa'x'(t')を|a'x'(t')|としたのは、ロケットが前に加速しても後ろに加速しても静止系から見た時間の遅れは変わらないと考えないと不合理ですし、減速という運動は進行方向に向かって正反対に加速するする事と等しいからです。
そして、よく見る相対論の誤解のP4にある「図6. 超高層ビル」のg1~gNについては、等加速後に等減速を行った場合、等加速区間はg1~gk=a',等減速区間はgk+1~gN=-a'なので、g1~gN=|a'|と評価すれば、等加速後と等減速を混合しても上で求めた計算が成立する事になると思いますが、厳密な証明は、相対性理論を真面目に勉強する気がある方にお任せします(笑)
追記3:(2023/4/22)
等加減速系の計量にa'x'(t')ではなくて|a'x'(t')|を採用する理由は、|a'x'(t')|を採用しなければdt/dt'の時間反転対称性が崩れるだけではなく、加減速を切り替える前と後のdt/dt'の値が接続出来なくなってしまうからという説明が最ももっともらしい説明だという事に今頃になって気が付きましたが、等価原理自体が人為的な仮定なので、私の計算が正しいかどうかは、E=mc^2と同様に実験によって確かめるしかないという事にしてください(笑)

ガレージのパラドックスについて(3)

ガレージのパラドックスについて(2)の説明内容をより確実に理解していただくために、まずは空間スケールでガレージのパラドックスを考えた場合について説明したいと思います。*1
そこで、車が加速して空間スケールに従って車の固有長がγ倍に伸びるというアブノーマルな時空図を作成したので見てもらいたいのですが、この図を見ると、
(1) ガレージから見た場合、車の後端がガレージの入口と重なった瞬間(A=B1)に車の先端がガレージの出口と重なる(A'=B0')ので、その瞬間にガレージの入口と出口の扉を同時に閉じる事が可能となり、車の長さの変化を認められない事になる。
(2) これは、車の固有長がγ倍に伸びた分がローレンツ収縮によって相殺されたというように解釈出来る。
(3) 車の固有長は空間スケールに従ってγ倍に伸びるので、車から見た場合、車の先端部がガレージの出口に到達した瞬間(A'=B0')に出口が閉じるが、車の後端(B0)はガレージの外にはみだし、ガレージの入口(A=B1)の扉が閉じる時にも、車の先端部(B1')はガレージの外にはみだす。
(4) ガレージの系と車の系を入れ替えた場合は、車の固有長はそのままでガレージの固有長がγ倍に伸びて時空図上で左右が反転するだけなので一切矛盾は起きないが、お互いから見て相手の固有長がγ倍に伸びると仮定すると、正真正銘のパラドックスが起きると思われる。*2 *3
という事が分かるのではないでしょうか。
*1 ここでは空間スケールで考えているので、加速した車は2台のロケットのパラドックスについてで説明した2台のロケットの間隔と同様にγ倍に伸びていると考えてください。
*2 この事は、相対性理論を正しく理解する気がある方に対する演習問題とします(笑)
*3 ガレージと車を異なる慣性系で作ったら、同じ固有長になるように作っても、お互いから見て相手の固有長がγ倍伸びるのではないかと心配される方がいらっしゃるかもしれないですが、慣性系が異なっても同じ物理法則が働くという常識的な考え方を相対性理論も引き継いでるので、相対性理論を信じれば、全く同じ物質で構成されている物質が、慣性系の違いによって固有長が異なるような事が起きる事はあり得ないと言えるでしょう。
ガレージのパラドックスについて(3)
追記:
追記2:
間違っていた場合の逃げ道を確保するために、(4)と*2の表現をわざと濁しました(笑)

ガレージのパラドックスについて(2)

ガレージのパラドックスについてで行き詰まって「消える魔球のパラドックス」だの言ってお茶を濁してしまいましたが、固有長が等しいという事実だけを元にして、ガレージのパラドックスについて、万人が納得が行くと思えるシンプルな説明を思いつきましたので、どうか見てやってください。
garage9.jpg
追記:

ガレージのパラドックスについて

相対性理論のパラドックスで、ガレージのパラドックスという有名なパラドックスがあり、ネットでいろいろと調べたところ、納得が行く説明が見当たらなかったため、私なりにいろいろと考えて見たのですが、私も万人が納得が行くガレージのパラドックスの説明法を未だに見つけていません。
ただし、私としては、ガレージのパラドックスについては、ローレンツ収縮についてで説明した通り、剛体は加速しても固有長は変わらないため、車がガレージにすっぽり収まった瞬間にガレージの扉を閉めても何も問題は起きないというつまらない説明でとりあえず納得するのが得策だと思いました。
ところで、ローレンツ収縮について(2)を見ていて、以下の図のパラドックス(?)を編み出し、「黒い下敷きのパラドックス」とか「大リーグボール2号のパラドックス」とか「消える魔球のパラドックス」と命名して見たのですが、どなたか、このパラドックスの実証実験を行って、YouTubeにアップしてアクセス数を稼いで見てはいかがでしょうか(笑) *1 *2
それと、以下の図は、高速移動する物体のテレル回転の表現出来ていませんが、テレル回転の仕組みについては、テレル回転についてを見てください。
*1「大リーグボール2号」や「消える魔球」の意味が分からない方は、こちらを見てください。
*2 慣性系によって光の経路に差が発生する理由は、光行差の公式についてを見てもらいたいのですが、ついでに光のドップラー効果の公式についても見てやってください。
ガレージのパラドックスについて追記:

特殊相対性理論における等加速運動について

ところで、特殊相対性理論における速度合成についてで説明した、u'=(u+v)/(1+uv/c^2)を使うと、平坦な時空での等加速運動も扱えるようになります。
例えば、一定の力(F=ma')の力を受けて一定の加速度a’で等加速運動する物体の固有時をt'とした場合、速度合成公式から、
u'(t'+dt')=(u'(t')+a'dt')/(1+u'(t')a'dt'/c^2),u'(t'+dt')-u'(t')=a'dt'(1-(u'(t')/c)^2)/(1+u'(t')a'dt'/c^2)となりますが、dt'→0なのでu'(t'+dt')-u'(t')=du'(t')とすると、du'(t')=a'dt'(1-(u'(t')/c)^2),du'(t')/dt'=a'(1-(u'(t')/c)^2)となります。
上の結果をdu'(t')/(1-(u'(t')/c)^2)=a'dt'と変形して両辺を積分すると
∫(1/(1-(u'(t')/c)^2))
)du'(t')=∫a'dt' *1
carctanh(u'(t')/c)=a't'+C
arctanh(u'(t')/c)=a't'/c+C
u'(t')/c=tanh(a't'/c+C)
u'(t')=ctanh(a't'/c+C)
u'(0)=ctanh(C)
u'(0)/c=tanh(C)
arctanh(u'(0)
/c)=Cとなり、u'(t')=ctanh(a't'/c+arctanh(u'(0)/c))という等加速系の相対速度関数が導出されます。*2
*1 左辺の積分は、u'(t')が積分変数となっている事に注意してください。

*2 tanhの関数の形は下のグラフの通りですが、tanh<1ですから、いくら長時間加速しても光の速さは超えられない事が分かります。
特殊相対性理論における等加速運動について追記:
特殊相対性理論における等加速運動について(2)も見てもらいたいのですが、u'(t')=ctanh(a't'/c+arctanh(u0'/c))の応用例は双子のパラドックスの計算について(2)を、この関数を積分して得られる等加速系の等加速系から見た移動距離関数については、特殊相対性理論における等加速運動について(2)を見てください。
追記2:
ROMさんの指摘を受けて最初の部分の誤りを訂正しましたが、指摘内容は、ROMさんのコメントを見てください。

特殊相対性理論における速度合成について

特殊相対性理論における速度合成については、対象系の進行方向と対象系内の進行方向が平行で、対象系との相対速度がvで対象系内の速度がuの場合の速度合成公式の導出法を示したいと思います。*1
まず、ガリレイ変換を思い出してもらいたいのですが、上記の条件と同じ場合のガリレイ変換はx'=x-vt,t'=tで、逆変換は x=x'+vt,t'=tとなります。
そして、x/t=x'/t'+vとなり、x=dx,t=dt,x'=dx',t'=dt'と見なすとdx/dt=dx'/dt'+vとなりますが、dx/dt=u',dx'/dt'=uなのでu'=u+vが導出されます。
ここで、この方法を特殊相対性理論にそのまま当てはめて見ます。
γ=1/√(1-(v/c)^2)と置くと、xとtのローレンツ変換はx'=γ(x-vt),t'=γ(t-vx /c^2)なので、逆変換はx=γ(x'+vt'),t=γ(t'+vx'/c^2)となり、x/t=(x'+vt')/(t'+vx'/c^2)となりますが、x=dx,t=dt,x'=dx',t'=dt'と見なすとdx/dt=(dx'+vdt’)/(dt'+vdx'/c^2)となり、右辺の分子と分母をdt'で割るとdx/dt=(dx'/dt'+v)/(1+v(dx'/dt')/c^2)となります。
ここで、dx/dt=u',dx'/dt'=uなのでu'=(u+v)/(1+uv/c^2)が導出されます。
上記の条件で、さらに対象系内で対象系の進行方向と直交した方向にwの速度で運動している場合の速度合成公式の導出法も示したいと思います。*2
yのローレンツ変換はy'=yなので、y/t=y'/γ(t'+vx'/c^2)となりますが、x
=dx,t=dt,x'=dx',t'=dt'と見なすとdy/dt=dy'/γ(dt'+vdx'/c^2)となり、右辺の分子と分母をdt'で割るとdy/dt=(dy'/dt')/γ(1+v(dx'/dt')/c^2)となります。
そして、dy/dt=w',dy'/dt'=w,dx'/dt'=uなのでw'=w/γ(1+uv/c^2)が導出されます。*3
*1 最初は、x軸方向の運動だけで考える事にします。
*2 この公式が役立っている例は、光行差の公式について殊相対性理論における等加速運動についてを見てください。
*3 x軸方向とy軸方向の運動だけを考えていますが、z方向の成分のローレンツ変換はz'=zなので、z軸方向の運動も同様です。

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